776話 アニキ!
「へぇ。ここが教会か……」
俺は孤児らしき兄妹に案内され、教会の前までやってきた。
石造りの大きな建物だ。
エルカの町でも見掛けたことがあったが、やはり王都だけあり規模も大きいらしい。
かなり立派な佇まいをしている。
「アニキ、案内はここまでで大丈夫ですか?」
「ああ」
「じゃあ案内料の方をですね……へへ……」
「いいだろう」
案内料は鉄貨2枚だったかな……。
最初に提示されたのは鉄貨5枚だったが、なぜか2枚に減額されたのだ。
いずれにせよ、ずいぶんと安い。
日本円にして数十円ぐらいだ。
まぁ、孤児が少々の道案内をして得られる額としては妥当なのかもしれないが……。
「ほら、受け取れ」
「え……ええっ!? こりゃ鉄貨じゃなくて銅貨ですよ!? しかも……5枚も!?」
「ああ、構わないさ。とっておけ」
「い、いいんですか? こんなにたくさん……。オレたち、ただ道案内をしただけですけど……?」
「別に構わんさ」
銅貨5枚は、日本円にして数百円ぐらいだろうか。
少し道案内しただけの対価としては、やや大きな金額だ。
しかし、俺にとっては大した金額ではない。
これで孤児たちが多少でも腹を満たせるのなら、安い出費だ。
「それより、もう行け」
「あ、ありがとうございます! アニキ!!」
「アニキ!!」
孤児の兄妹は頭を下げると、どこかへと駆けていった。
そして、俺は建物の中に入る。




