768話 企み【マデリン侯爵side】-4
「小娘の存在により、エルカディア家と成り上がり者に繋がりができてしまったのが問題なのだ……!!」
少し目立っていた冒険者を自分の手駒にできなかった。
それは特に痛手ではない。
その冒険者がウルゴ国王の判断により爵位を得てしまった。
それも、腹立たしいことではあるが、まだ納得ができる。
だが、その新貴族が自分の政敵であるエルカディア侯爵陣営の人間と繋がりを持ってしまった。
しかも、その場で男爵から子爵へ格上げされた。
これらの事実は、マデリン侯爵にとって許容できないものだった。
「このままでは、私の計画が破綻してしまう……。『黄昏の月』への加入する計画が……!!」
「はい? たそが……何ですか?」
マデリン侯爵の言葉を聞き取れず、部下の男は首を傾げた。
しかし、マデリン侯爵の耳には入っていないようだ。
彼はぶつぶつと独り言を呟いている。
「くっ……。こうなったら……お前ら、実力行使に出ろ」
「えぇ!? か、可能でしょうか? 騎士団長を下した男の暗殺など……」
「騎士団長を下したと言っても、正面勝負だ。暗殺となれば話は別。それに、必ずしも殺さなくともよい」
「……と言いますと?」
「奴は今回、『宝剣ラティオ』を陛下より賜った。国宝だ。万が一の話だが、奴がそれを紛失すれば……」
「……!! なるほど、承知いたしました」
部下の男たちは、ニヤリと笑みを浮かべてうなずく。
こうして、コウタの知らないところでマデリン侯爵の企みが動き始めたのだった。




