767話 企み【マデリン侯爵side】-3
「まさか、アルヴィンがやられるとは……。Aランク相当の実力があると豪語しておったが、所詮は口だけだったのか」
頭領である『毒霧』のアルヴィンは、Aランク冒険者並みの実力を持つと評価されていた。
しかし、コウタ・エウロスによってあっさりと殺されてしまったらしい。
「いえ、アルヴィンの実力は本物のはずです。私も直接戦ったことはありませんが……。それでも、あの男の強さが尋常ではないことくらいは分かります」
「……ふんっ! ならばやはり、コウタとかいう小僧の力が強かったということか。……くそっ!! 忌々しい成り上がり者め……!!!」
マデリンは吐き捨てるように言った。
彼にとって、今の状況は良くない。
「騎士団長殿も、コウタ・エウロスの前には手も足も出なかったと聞きました。そして、近衛騎士ナディア・エルカインドが『悠久の風』に仮加入したと……」
「エルカディアの遠戚とはいえ、あんな末端貴族の娘自体はどうでもいい……! どうでもいいが……!!」
近衛騎士ナディア・エルカインド。
エルカディア侯爵家の遠戚であり、貴族だ。
また、近衛騎士として任じられる程度には強い。
しかし、それは本来どうでもよい話のはずだった。
貴族とはいえ末端に近い存在だし、近衛騎士とはいえ同じく末端に過ぎない。
近衛騎士の中でも飛び抜けて出世し続けでもしない限り、政局に影響はない。
そのはずだったのだが――




