766話 企み【マデリン侯爵side】-2
「まさか、奴らがエルカ迷宮を踏破するとは想定外だった。それ以上に、ウルゴ陛下があれほど迅速に動かれるとは……」
マデリン侯爵の情報網は、上級貴族だけあってかなり広い。
だが、今回は相手が悪すぎた。
ウルゴ国王は、バルドゥール王国において絶対的な権力者だ。
彼の情報網にかかれば、謎の有望ルーキーの実力でさえ、かなりの精度で把握することができる。
下級貴族が『悠久の風』の活躍を噂程度にしか知らず、マデリン侯爵が『そろそろ粉でもかけておくか』と考えている頃、ウルゴ国王は既に爵位を与えることを検討していた。
そして、コウタ率いる『悠久の風』がエルカ迷宮を踏破したと知るや否や、即座に彼らに爵位を与えたのである。
もちろん、その決定は貴族たちの間でも話題になった。
だが、マデリン侯爵は別の意味でも悔しがっていた。
「あのような者に『毒蛇団』が潰されるとは……」
エルカの町に巣食っていた『毒蛇団』。
そのバックにいたのが、マデリン侯爵だった。
彼は『毒蛇団』へ密かに武具や魔道具を融通する代わりに、違法奴隷を仕入れていた。
マデリン侯爵の政敵であるエルカディア侯爵の領地に、少しでもダメージを与えるという画策だ。
それと同時に、大型盗賊団がはびこっているという悪評を広め、ウルゴ国王からエルカディア侯爵への評価を下げさせる狙いもあった。
だが――




