719話 野心
「そもそも、エルカ西方で新しい国を興されるリスクもあるぞ?」
「……いえ、それはないでしょう。あそこは我が国の領土です。周辺国家も、それは認めています」
「周辺国家はそうだ。しかし、未開地域を自力で開拓をした者が新国家を主張することはある。エウロス卿がそれをしない保証があるか? 有象無象ならまだしも、エウロス卿が新国家の樹立を主張すれば面倒なことになるぞ」
「……」
「エウロス卿が野心を抱かないとは限らない。だからこそ、余すことなく彼の功績を評価して、バルドゥール王国に繋ぎ止めておくべきなのだ」
ウルゴ陛下がここまで考えていたとはな。
俺のことをかなり評価してくれている様子だ。
まぁ、周囲に王侯貴族だけでなく平民の野次馬、そして話題の張本人である俺がいる前でそんな話をするのはどうかと思うが……。
これも敢えてそうしているのか?
エウロス『子爵』が誕生した経緯を周知しておくことによって、今後の流れをスムーズにさせようといった意図があるのかもしれない。
「……承知いたしました。陛下の仰せの通りかと思われます」
「うむ」
ついにマデリン侯爵が折れた。
これで、俺も晴れて子爵位をゲットか。
ハーレム作りがますます捗るぜ。
「…………」
マデリン侯爵が、まだ何か企んでいる目をしていることが気になるが……。
俺の子爵位が確定した以上、何ができるというのだろう?
少しばかり警戒しておくとするか。




