718話 責任
「だが、くだらぬ。余の見立てでは、エウロス卿はそのようなつまらぬ前例に縛られるような人間ではない」
ウルゴ陛下がピシャリと言い放つ。
おお……。
いいこと言ってくれるじゃん。
「陛下! しかし――」
「くどい! マデリン侯爵よ……そなたはもっと思慮深い者と思っていたが……。そなたは責任が取れるのか?」
「せ、責任……でございますか? いったい何に対しての……?」
マデリン侯爵が困惑する。
そんな彼に対して、ウルゴ陛下が厳しい表情のまま続ける。
「無論、エウロス卿についてだ。不相応な地位に押し留められた彼がその気になれば、男爵など簡単に捨てて出奔するかもしれぬぞ」
「陛下、さすがにそれは……。王国貴族という栄えある地位を捨ててまでそんなことをするはずが……」
「王国貴族の栄光を否定するつもりはない。だが、エウロス卿にとってはどうだ? 彼ならば、他国でも功績を上げて爵位を得られるだけの実力を持っているはずだ。この国に固執する必要もあるまい。バルドゥール王国の生まれでないという事実も、それを後押しする」
「…………」
マデリン侯爵が押し黙った。
ウルゴ陛下の言っていることは間違っていない。
チート持ちの俺なら、どこでも活躍できる。
まぁ、『悠久の風』の面々と出会った思い出の地であるバルドゥール王国を簡単に離れるつもりはないが……。




