716話 子爵
俺は騎士団長を下した。
そんな俺に対して、ウルゴ陛下がさらなる褒美をくれると言う。
「エウロス卿、そなたに男爵位は相応しくない」
「そ、それはどういう意味でございましょう?」
言葉だけを純粋に捉えれば、爵位を剥奪されそうな感じだ。
だが、そうではないはず。
ここまでの会話の流れを考えれば、彼の真意は――
「そなたには子爵位の器がある」
「――っ!!」
やはり、そういうことだったか。
ウルゴ陛下が本格的に俺のことを王国に取り込み始めた。
平民から見れば、男爵位でも十分に魅力的な爵位だ。
しかし、厳しい言い方をすれば所詮は下級貴族であるとも言える。
上昇志向が強い者であれば、男爵位では満足しないかもしれない。
その点、子爵位となれば中級貴族の仲間入りとなる。
「そなたの活躍は目覚ましい。子爵として、王国のために尽くしてくれないか」
「――ありがたきお言葉です。謹んでお受けいたします」
俺は恭しく頭を下げる。
ウルゴ陛下の狙いは単純明快。
俺という存在を、バルドゥール王国の発展に役立てることにあるだろう。
そこに裏の意図はなさそうだ。
俺のハーレムに加える女性を増やすためにも、世界滅亡の危機に備えるためにも、俺はウルゴ陛下と良好な関係を築いていく必要がある。
そこに情や恩義はなくとも、打算や利益はある。
お互いにとって有益ならば、それでいいじゃないか。




