71話 ゴーレム周回
結局初日は、ゴーレムを計3周してその日の活動を終えた。
その翌日は、4周。
休息日を挟んでその次は、5周。
やはり、『パーティメンバー経験値ブースト』の恩恵により急成長をする俺たちは、周回効率がどんどん向上していく。
ジョブレベル以外にも、慣れにより動きが最適化していくことも大きい。
「今日もいい調子だな。これで6周目か」
「そうですね! ご主人様のおかけで、順調に成長させていただいています!」
シルヴィがそう言う。
「うん。一日に階層ボスを3周以上するパーティは、なかなかいないよ。もちろん高ランク冒険者なら僕たちと同じことが可能だろうけど、そんな人はもっと深いところに潜るし……」
ユヅキがそう言う。
高い戦闘能力を持っているのにあえてダンジョン1階層を周回するのは、俺たちぐらいのものだろう。
「ボクの目的のため、みんな付き合ってくれてありがとうなのです」
俺たちが1階層にとどまって周回しているのは、もちろんミナの目的であるオリハルコンのためだ。
エルカの町の近郊でオリハルコンを入手する手段は、主に2つしかない。
町で購入するか、ダンジョンで自力で入手するかだ。
町では現在品薄のため、実質的にはダンジョンで自力で入手するしかない。
冒険者パーティに依頼して、エルカ迷宮の1階層ボスであるゴーレムを周回してもらうという手段もある。
とはいえ、高めの報酬を設定しないとなかなか受けてくれる者はいないだろう。
ダンジョンにおける狩りは、地上の狩りや隊商の護衛依頼などと比べると、リスクが高い割に旨味が少ないからな。
「いや、俺たちもミナの豪腕には助けられている。お互い様だ」
俺の場合は、『ダンジョンの階層ボスを撃破せよ』というミッションを達成するという目的があった。
当時の俺、シルヴィ、ユヅキでは心もとなかったので、新メンバーを探していたのだ。
オリハルコンを求めていたミナと目的が一致し、臨時パーティを組んだのである。
「あたいも構わねえぜ。オリハルコンを手に入れたら、次はまたあたいのリトルブラックタイガーの肉を狙うしな」
リンがそう言う。
彼女は彼女で、品薄状態のリトルブラックタイガーの肉を手に入れるという目的がある。
「みんなで、ご主人様の名声を高めるためにがんばりましょう!」
シルヴィは、いつも俺の意向に従ってくれている。
奴隷だから当然ではあるが、それを抜きにしても前向きに従ってくれているように思う。
「うん。僕も、いい経験になるよ」
この中で、ダンジョンに挑む目的が薄いのがユヅキだ。
しかし、彼女はもともと冒険者。
『大地の轟き』では、日々の稼ぎがイマイチで生活費を稼ぐのがやっとといった状態だった。
様々な経験を積んでジョブレベルを上げることは、彼女にとって悪いことではない。
そんな会話をしているうちに、6周目のゴーレム戦が始まろうとしている。
「揺蕩う風の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。風の塊を撃ち出し、我が眼前の敵を弾き飛ばせ。エアバースト!」
まずはいつも通り、俺の先制攻撃だ。
「凍てつく氷の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。氷の弾丸を撃ち出し、我が眼前の敵を撃ち抜け。アイスショット!」
「母なる土の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。土の塊を生み出し、我が眼前に落とせ。クリエイト・ブロック!」
シルヴィとユヅキも続く。
さらに俺たちは2発目も発動し、畳み掛けていく。
パターンとしては、今までと代わり映えしないがーー。
「ピピッ。中度のダメージを確認……。修復します」
ゴーレムがそう無機質な声を発する。
周回の初期の頃と比べると、明確にダメージペースが早い。
基礎ステータスがどんどん上がっている影響だろう。
「逞しき武の神よ。我が肉体に奇跡を与え給え。裂ける一撃。裂空脚!」
ズガンッ!
リンの強烈な回し蹴りがゴーレムに叩き込まれる。
「豪胆なる槌の神よ。我が腕に奇跡を与え給え。粉砕する一撃。ビッグ……ボンバー!」
ドゴーン!!!
ミナの豪腕によりハンマーが振り下ろされる。
そしてーー。
「ピピッ。損傷甚大。魔力枯渇。……修復不可能。当機の活動を停止します……」
ゴーレムは最後に無機質な声でそう言って、虚空に消えた。
もう討伐完了か。




