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707話 仕切り直し

「し、失礼ながら申し上げます! 今のは不意打ちだっただけです!! 私の実力はこんなものではありません!!」


「ほぉ……」


「今一度決闘を仕切り直させて下さい!! 今度は油断せずに全力を出しますので――」


「よかろう。今度こそエウロス卿に勝つ――のは難しいだろうが、せめて善戦はしてほしいところだな」


「ははっ!」


 ウルゴ陛下の言葉を受け、騎士団長が頭を下げる。

 よくもこう口が回るものだ。

 不意打ち?

 油断していた?

 よく言うぜ。

 どこからでもかかってこい――そう言ったのは騎士団長の方なのに。


「それでは、両者構えて――」


 アスター騎士爵が再び試合の開始を宣言する。

 騎士団長が木刀を構える。

 だが、俺は動かない。


「どうした? 本気を出す私に怖気づいたのか?」


 騎士団長が怪しげに眉をひそめる。

 だが、俺は答えない。

 代わりに――


「ほら、再開前にこれを飲んでおけ」


 俺はポーションの入った小瓶を差し出した。


「なんだこれは……?」


「ポーションさ。今の一撃で大きなダメージを折っただろう? それを治しておいてやれ」


「な、なぜ私が貴様のような冒険者上がりに施されねばならんのだ!!」


 騎士団長は俺の手を振り払う。

 だが、俺は構わずに続けた。


「そうかそうか。俺に負けたときの言い訳がなくなるのが嫌なのか」


「くっ……! そんなことは……」


「だったら、飲んでおきな。そして今度こそ、ぐうの音も出ないように完膚なきまでにぶちのめしてやる」


「ぐぬぅ……!」


 騎士団長は歯を食い縛る。

 しかし、やがて観念したようにポーションを手に取り、飲み干したのだった。

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