703話 ルール
(百歩譲って、アスター騎士爵は分かるが……)
アスター騎士爵は末端貴族だ。
限りなく透明に近い――じゃなくて、限りなく平民に近い貴族だ。
武功を評価された叙爵された経緯を持つし、剣を用いた決闘に対する実況もできるだろう。
だが、エルカディア侯爵やウルゴ陛下までもが出てくるのはおかしい。
明らかに異常事態だ。
(だが、今はそんなことを考えても仕方ないか)
俺は気持ちを切り替える。
偉い人の気まぐれをアレコレ深く考えても仕方ない。
ウルゴ陛下はそれなりに偉大な王のようだが、それと同時にさほど厳格なタイプでもないようだった。
ただの興味本位でしゃしゃり出ているだけの可能性もある。
「それではルールを説明します。まず――」
アスター騎士爵の説明によると、武器は木刀を用いるらしい。
防具はなしだ。
体を守る装備がない状態で、木刀で戦う――。
普通に考えて、試合後には間違いなくアザだらけになっていることだろう。
その代わり、治療魔法によって傷を治してもらえるとのことだ。
(まぁ、終わった後のことはどうでもいいけどな)
勝てばいい。
負ければ失う。
シンプルな話だ。
「続いて、勝敗についてです。どちらかが戦闘不能になるか、降参するかで決まります。降参する場合は、両手を上げて宣言して下さい。また、反則行為があった場合はその時点で失格となり、敗北扱いになります」
「なるほどな……」
俺は頷く。
ごくごく単純なルールだ。
特に問題はないように思えるが――




