697話 粉骨砕身
「陛下! エウロス卿は危険な存在ですぞ! 然るべき断罪を! そして、近衛騎士を貸し与える件についてもどうかご再考ください!!」
「マデリン卿の仰る通りです!! ナディア殿は陛下の近衛騎士……それを汚すような真似をした者を信用することはできません!!」
マデリン侯爵と団長が声高に叫ぶ。
彼らの主張はもっともだ。
が、残念なことに俺の主張も間違ってはいない。
ウルゴ陛下はどっちの言い分を聞くのか。
「マデリン侯爵と団長が主張していることはもっともなことだな」
「では!」
「――しかし、そのような些事でエウロス卿にへそを曲げられるのもつまらぬ。我の見立てでは、彼は100年に1人の逸材だ。バルドゥール王国のさらなる発展のため、彼には存分に力を発揮してもらう必要がある。――そのつもりはあるか? エウロス卿よ」
「はっ! 王国のため、粉骨砕身の覚悟で尽くさせていただきます!」
俺は恭しく答える。
まぁ粉骨砕身の覚悟は言い過ぎなのだが、この国のために頑張る気持ち自体は嘘ではない。
やがて来る世界滅亡の危機に備えて、エウロス男爵領やバルドゥール王国はできるだけ発展させておきたい。
そして、可愛い女の子を集めたハーレムを堪能して人生を謳歌するのだ。
(マデリン侯爵と団長は、陛下の言葉を受けて大人しく引き下がるかな……?)
俺は横目で2人の様子を伺う。
そこには悔しそうな様子で拳を握りしめている2人の姿が見えたのだった。




