689話 ひれ伏せ
(さすがはウルゴ陛下直属の近衛兵たちといったところか……! この場にいるだけでも相当な手練れぞろいのようだ!)
彼らから放たれる気配に圧倒されそうになる。
前述した通り、彼らの戦闘能力はBランク相当だろう。
1対1なら、Aランクの俺に分がある。
しかし、さすがの俺も10人以上のBランク相当の騎士たちに睨まれては少しばかり怯んでしまうというものだ。
(まぁ……値踏みされっぱなしで我慢する俺ではないがな!)
俺は内心で敵対心を燃やす。
そして――
「【ひれ伏せ】」
俺は言葉に魔力を乗せ、命令を下す。
直後、整列していた近衛兵の半数近くが膝をつく。
「なっ!?」
「なにごとだ!?」
突然の出来事に驚く貴族たち。
ウルゴ陛下も表情こそ変えなかったが、わずかに眉根を寄せている。
「何をしたのだ?」
マデリン侯爵は俺を問い詰める。
「簡単なテストですよ。この程度の威圧に耐えられないようなら、パーティに加える意味がありませんから」
「そ、それは無礼というものだぞ! ウルゴ陛下が直属の部下を貸し与えると仰ってくださったのだ! その実力を疑い、試すような真似をするとは……」
「よい。確かに、実力不足の者を貸し与えられてもエウロス卿は困ってしまうだろう。――して、そなたの基準を満たした者はいたのか?」
ウルゴ陛下が静かに尋ねる。
俺は大きく首肯する。
そして、答えを口にすることにしたのだった。




