672話 飲み込み
「はい。基本的には、このスタンスで数度行うつもりです。しかし、エウロス卿は飲み込みが異常に早いですからな。次の一回で打ち切りにしてもいいぐらいかもしれません」
「ほう。俺の理解はそこまで早かったか?」
俺の才覚――ではなく、『ジョブ設定』スキルのおかげだな。
俺は『貴族』のジョブを取得してある程度育て始めている。
その補正により、貴族関係の常識やマナーについてすんなりと覚えられているような気がする。
「はい。正直なところ、私の方が教えられることが多かったくらいです」
「そうなのか……。いや、アスター卿の教え方が上手いのだろう」
とりあえず、そうお世辞を言っておく。
極端におべっかを使うつもりはないが、これぐらいなら世渡りの範囲内だと思う。
「そう言っていただけると嬉しい限りですが……。しかし、今回の件でエウロス卿がいかに優れた能力を持っているかが分かりました」
「ふむ」
「私もまだまだ未熟者です。エウロス卿を見習って、これからも努力を重ねようと思います」
「そうしてくれ。俺としても、アスター卿が頑張ってくれれば助かる」
「はい」
アスター騎士爵が頷く。
俺から彼への指導、逆に彼から俺への指導。
それらを通じて、なかなか悪くない信頼関係を結べたと思う。
「ところで、話は変わるが……。アスター卿」
「なんでしょうか?」
「一般的な貴族の心得やマナーは次回で理解を深めていくとして……。具体的なことを一つ聞きたい。この国における有力貴族の動向や、他国との関係性といった情報はないか?」




