664話 許可
「はい。おかげで助かりました」
「うむ。苦しゅうない」
俺は大きくうなずく。
馬車の中での言葉による講義に加えて、男同士で体を張った擬似的な実践。
そして仕上げに、こうして俺がメイド少女に対して責めるところを見学させた。
これだけ充実した指導を受ける機会など、なかなかないはずだ。
彼の知識や勘は、今日だけでも大きく成長したことだろう。
「アスター騎士爵と妻の仲が改善することを期待しているぞ」
「ええ。……しかしその前に、一つ許可していただきたいことがあるのですが」
「なんだ?」
「この少女で……先ほど教えていただいたことを試してみたいのですが……」
アスター騎士爵がそう言うと、彼の視線が俺の背後へと向けられた。
そこには、床に座り込んでいる裸のメイド少女の姿がある。
「……ああ。いいんじゃないか。元より、俺が許可することではないからな」
メイド少女と交わる許可は、誰から得るべきか?
それはもちろん、メイド少女本人からだ。
現代日本と比べて、MSCに準拠したこのゲーム世界の人権意識は低い。
――が、人権意識が皆無というほどでもない。
例えば『女は黙って男に股を開け』とか『平民は貴族のオモチャだ』といった極端な思想が蔓延しているわけではない。




