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654話 爵位

「私の功績は、騎士爵を与えられる本当にギリギリのラインでしてね……。本来は、世襲も領地もない準騎士爵が授与される予定だったのです」


 一口に貴族といっても、ある程度の格差はある。

 王族に連なる血筋を持つ公爵家。

 その次に格式が高い侯爵家。

 そして、その下に伯爵家と子爵家が連なる。

 このあたりまでは、貴族でも中上位といったところだろう。

 王都近郊にそこそこの領地、あるいは辺境に広大な領地を持っていたりする。


 その次が男爵家だ。

 この俺、コウタ・エウロス男爵はここに位置する。

 貴族としては下の方と言わざるを得ない。

 だが、世襲ができるし、小さめだが領地を与えられることも多い。


 俺の場合は、エルカ西部の未開拓地域を任されている。

 現状で未開拓地域の全てがエウロス領というわけではないが、無事に開発できたエリアは領地として与えられることになっている。

 そこそこ程度の才覚であっても、少しばかりの領地は確保できるだろう。

 チートを持つ俺であれば、『悠久の風』の面々の助力を受けつつガンガン開発して、男爵家としては破格の大領地に発展させることも可能だ。


 男爵家の下は、騎士爵家となる。

 男爵家と同じく世襲が可能だし、領地も与えられる。

 ただし、そこには制限がある。

 一定の功績を上げなければ、世襲は3代までで打ち切りだ。

 領地についても、ちゃんとした土地を与えれるというよりは、俺のように未開拓地域を任される感じとなる。

 さらに、俺と比べて任される地域はさほど広くなく、順調に開発が進んだとしても大領地を得られるわけではない。


 そして、男爵家と騎士爵家の亜種として、準男爵家と準騎士爵家がある。

 準男爵家は、男爵家と騎士爵家の中間ぐらいだ。

 一方、アスター騎士爵が本来授与されるはずだった準騎士爵。

 これは、貴族の中では最も下のものである。

 世襲不可で、領地もなし。

 あるのは少しばかりの名誉と俸給のみだ。

 冒険者には武功を上げる者も少なくないが、大抵の場合は叙爵されてもこの準騎士爵となる場合がほとんどである。

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