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633話 お代わり

 俺はタニアと食事中だ。

 彼女は、SSSSSランクのステーキを無我夢中で完食してしまったらしい。

 肉がなくなってしまったことに気づいた瞬間、彼女はひどく狼狽していた。


 それも仕方のないことだろう。

 これほど上質な肉は、それこそ王族や貴族、超一流冒険者でもない限り食べることができない代物だ。

 庶民にとっては夢物語のようなものである。


 そんな至高の逸品を、彼女はすべて平らげてしまったのだ。

 そのショックは計り知れない。

 というわけで、俺はタニアに提案した。


「タニアちゃん、そんなに落ち込むことはないぞ?」


「いえ……、私はとんでもないことを……」


「食べ足りないなら追加で注文すればいい」


「えっ!? お代わりしてもよろしいのですか!?」


 俺の言葉に勢いよく顔を上げるタニア。

 その瞳には希望の光が宿っているように見えた。


「ああ、もちろんさ」


「ほ、本当ですか……?」


「本当だとも」


「あ、ありがとうございます……!」


 そう言って頭を下げるタニア。

 その目には涙が浮かんでいるようにも見える。


(よしよし、いい感じだな)


 ここまでくればあとは簡単だ。

 俺は店員の男を呼びつけ、新たなステーキを持ってくるように命じた。

 ほどなくして運ばれてきたのは、先ほどよりもさらに一回り大きなサイズのステーキだった。

 それを見たタニアはゴクリと喉を鳴らした。


「さぁ、遠慮せずに食べてくれ」


「はい!」


 俺の言葉に頷くタニア。

 彼女はすぐにナイフを手に取ると、再び食べ始めた。


(ふふふ、計画通り)


 心の中でほくそ笑む俺。

 もし彼女がとんでもなく図太い性格をしているのであれば、高い肉を奢ったぐらいでは何も起こらない。

 しかし、彼女のようなタイプであれば話は別だ。


 彼女は間違いなくプライドが高い。

 自分が他人から施しを受けるということを嫌う傾向にあると見た。

 それでもSSSSSランクのステーキの魅力には抗えなかったわけで、この借りは何らかの形で返さなければと考えるはずだ。

 そこで俺は提案する。


「タニアちゃん。ステーキを食べるのもいいけれど、飲み物も飲んだ方がいいぞ?」


 ステーキに合わせて、酒も最初から注文していた。

 ステーキと同じタイミングで提供されていたのだが、肉に夢中のタニアはまだそれを飲んでいなかった。


「そうですね……! いただきます!」


 俺の勧めに従い、グラスに注がれた高級酒を口にするタニア。

 その瞬間、彼女は目を見開いた。


「こ、これ……! すごく美味しいですね……!」


 興奮気味に声を上げるタニア。

 どうやらお気に召したようだ。

 俺は笑みを浮かべながら告げる。

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