63話 モンスターハウスの攻略を完了
俺とリンでモンスターハウスを切り抜けようとしているところだ。
もう終わりが見えてきた。
「ウインドカッター!」
「おらぁ!」
俺とリンの攻撃を受けて、リトルブラックタイガーが倒れる。
なかなか強かったが、単体なのでギリギリ何とかなった。
そしてとうとう、次が最後の魔物のはずである。
最後だけあって、やや強めの魔物が出てくる。
ずばり、オークだ。
オークはDランクの魔物である。
ゴブリンやホーンラビットよりは強いが、魔物全体からすれば下級に属する。
MSCにおいては、大した脅威ではない。
しかし、この世界の俺にとっては、まだまだ油断できない相手だ。
俺の記憶が正しければ、やつが現れるのはーー。
『あそこ』のはず。
その後の流れをきちんと誘導できれば、俺とリンの2人だけでの討伐も不可能ではない。
室内に魔力の気配が高まってくる。
室内のとある場所の中空に、オークの体が生成されていく。
ドシン!
オークが大きな音を立てて床に降り立つ。
「ブモオオオッ!?」
そして、すぐさま大きな悲鳴を上げる。
上向きにセットした『ホーンラビットの角』を右足で見事に踏み抜いてくれたようだ。
やつが右足を上げる。
左足1本で立っており、不安定な状態だ。
「揺蕩う風の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。風の塊を撃ち出し、我が眼前の敵を弾き飛ばせ。エアバースト!」
ドンッ!
空気の塊が発射され、オークを襲う。
やつは不安定な体勢のところを押されて、たまらず倒れ込んでいく。
その体が倒れ込む先にはーー。
バチッ!
ドゴーン!
オークが倒れ込んだ先で、そこそこの爆発が起きる。
「コウタっち。あれはいったい……?」
「地雷草の効果だな。魔力を込めた状態で、大きな衝撃を受けると爆発するんだ」
俺はそう答える。
「マジかよ。そんな危険なものだったとは……。持ち運ぶのも危険だったんじゃ?」
「そうでもないさ。魔力を込めないと爆発しないし、魔力を込めても30分くらいで切れる。それに、人間が倒れ込んだぐらいの衝撃では爆発しないからな」
そもそも、地雷草は俺のストレージに収納している。
持ち運び中に爆発することは絶対にない。
「へえ。そりゃ使いようによっては便利そうだな」
「ああ。しかし、威力がさほどでもないのが難点なんだよ。見ろ、オークもギリギリ生きているぞ」
「ブモ……」
地雷草の爆発は、純粋な物理現象ではなくて、魔力に起因する爆発だ。
爆風の範囲内に生物がいる場合は、その魔法抵抗力の影響を受ける。
Dランクのオークの魔法抵抗力は、Eランクのゴブリンやホーンラビットよりも高い。
地雷草の爆発ダメージは軽減されてしまう。
とはいえ、かなりのダメージは受けており、ほぼ戦闘不能状態ではある。
「トドメといくぞ。……鮮やかなる剣の神よ。我が剣技に奇跡を与え給え。俊敏なる連撃。ダブルラッシュ」
ズバズバッ!
俺はオークに対して、一瞬の間に二撃を叩き込む。
「あたいもいくぜ! おらよっ!」
リンの回し蹴りが炸裂する。
それがトドメとなり、オークは息絶えた。
後には少し大きめの魔石が残される。
これにて討伐完了だ。
「……おっ。無事にモンスターハウスを攻略したようだな。出口が開いた」
「ふう。あたいのミスで迷惑をかけちまったな。この埋め合わせは、必ずするからよ」
リンがにかっと笑う。
「期待はしておくが、あまり深刻には考えるなよ? 人である以上、ミスは付きものだからな」
思わぬハプニングではあったが、無事に切り抜けられたので結果オーライと言っていいだろう。
シルヴィたちも、気配を感じる上では元気なようだし。
もうすぐそこまで来ているはずだ。
早く合流して、無事を伝えないとな。
合流したら、とりあえず今日のところは撤収するか。
このモンスターハウスを通していろいろと収穫があった。
今後の活動に活かすために、情報を整理しておかないとな。




