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628話 SSSSSランクのステーキ

 俺は王都冒険者ギルドの受付嬢タニアと夕食を共にしている。

 この場に俺以外の『悠久の風』メンバーはいない。

 彼女たちも慣れたもので、俺が新しい女性に手を出すことに関してあまりうるさく言うことはなくなっている。


 タニアには夫がいるようだが、それは俺にとって些細な問題にすぎない。

 なんたって彼女は美人だし、スタイルも良いしな。

 一夜の過ちぐらいは起きてしまっても仕方がないのだ。

 そんな下衆なことを考えながら、俺は彼女に言う。


「タニアちゃん、遠慮する必要はないんだぞ? せっかくだからもっと高いものを頼んだらどうだ?」


「……いえ、大丈夫です」


 彼女は素っ気ない態度を崩さない。

 どうやら俺の提案を受け入れるつもりはないようだ。


 考えの浅い者であれば『相手の奢りだから高いものを頼んでやるぜ』となる。

 しかしそれは愚策だ。

 ただより高いものはない。

 相手に奢ってもらったという心理的なスキを突かれ、その後の交渉が不利になるリスクがあるからだ。


 タニアはそのあたりをしっかりと理解している。

 ここは強引に仕掛けるべきか。


「ウェイター、注文いいか?」


 俺は近くを通りすがった店員を呼び止めた。

 そして注文を伝える。


「Sランク――いや、SSSSSランクのステーキを二人分頼む。それに合う酒類も適当に用意してくれ」


「え? SSSSSランク!?」


 俺のオーダーを聞いて驚愕の表情を浮かべるタニア。

 まさかそんな高価な料理を勝手に注文されるとは思っていなかったのだろう。

 彼女は目を大きく見開きながらこちらを見ていた。


 そして、ウェイターも驚いていた。

 当然だ。

 この店で一番高い商品を二つ同時に注文したのだからな。


「お客様、申し訳ございません。SSSSSランクのステーキは非常に高価でして……」


「なんだ? 今は置いていないということか?」


 SSSSSランクと言っても、もちろん冒険者や魔物のランクと単純に比較できるものではない。

 肉のランクは美味しさや希少性によって決められるからだ。

 そのランクに応じた値付けがされることになるし、こうしてメニューに書かれている以上は置いてあるはずと思ったのだが……。


「い、いえ……そういうわけではございませんが……」


 煮え切らない態度を見せる店員。

 俺はそれを見て、彼が何を言いたいのかを理解した。


「心配するな。金ならある」


 俺は懐から金貨の入った袋を取り出した。

 それをテーブルの上へと置く。

 ジャラリ、という金属同士がこすれる音がした。

 それを見たウェイターの態度が一変する。

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