617話 人質になったミナ
チンピラたちがユヅキたちに絡んでいる。
シルヴィの氷魔法やヒナタの火妖術によって大ダメージを受けた彼らだが、ローズの治療魔法によって復活した。
そこまではいい。
しかし、懲りない彼らは、次にミナを人質に取ってきた。
「ヒャハハ! おい、女ども! 抵抗するなよ! こいつの命が惜しければなぁ!!」
男が勝ち誇ったように言う。
彼の視線の先にいるミナは、ビクッと肩を震わせると怯えた表情で固まった。
どうやら彼女は、自分が標的になったことで恐怖を感じているようにも見える。
「いやぁ、まさかここまで予想通りの展開になるとはね……。ちょっとビックリだよ」
「ほんとですね。わたしとしては、もう少しひねりの利いた展開になると思ってたのですが……」
ユヅキとシルヴィが呟く。
彼女たちの言葉を聞いた男たちは、額に青筋を立てた。
「テメェら……! 何を余裕ぶっこいてるんだ!? こいつがどうなっても知らねぇぞ! あぁ!?」
リーダーの男が怒鳴る。
そんな男を冷めた目で見ながら、ユヅキが言った。
「いやだってさ、君たちじゃどう足掻いても僕たちを捕まえられないでしょ?」
「あんだとぉ!? だからこその人質だろうが!!
ユヅキの言葉に対して反論するリーダーの男。
彼の視線の先には、怯えた様子の少女ミナがいた。
彼女はガタガタと震えており、その目には涙が浮かんでいる。
「うぅ……怖いのですよぉ……」
「おら、こいつも怯えちまってるぞ!! 可哀想だろ!! それとも何か!? こいつが死んでもいいって言うのか!?」
ミナを指さしながら叫ぶリーダーの男。
シルヴィやユヅキは、ミナの大根役者っぷりに苦笑いしている。
剛腕を誇る彼女が、たかがチンピラ相手に怯えるはずがないのだ。
「――ん? よく見りゃ、このチビも素材は悪くねぇな……」
チンピラが不意にそのようなことを呟く。
ミナを人質にしてシルヴィやユヅキに迫っていた彼だが、そもそもその人質自体に魅力を感じ始めたようだ。
彼はニタニタと笑いながらミナの顎を持ち上げ、言った。
「へへっ! やっぱりそうだ! 顔はそこそこ可愛いじゃねぇか! これなら……」
男がミナの顔をしげしげ眺め、舌なめずりをする。
だが、少しして思い直したようだ。
「いや、やっぱりダメだな。こんなガキを犯したって面白くねぇ。どうせなら、もっと色気のある女がいいよな」
((うわぁ……))
思わず顔をしかめるシルヴィとユヅキ。
二人は思った――この男、最低だな、と。
そんな二人を尻目に、男は続けて言う。




