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615話 懲りない男たち

 コウタ不在の中、ユヅキたちがチンピラに絡まれている。

 もちろん、リーダーが不在だとしても今さら彼女たちがチンピラに後れを取ることはない。

 むしろ逆に、男たちの心配をしなければならない局面だ。

 現に、シルヴィの氷魔法によって彼らの足は氷漬けにされてしまった上、それを哀れんだヒナタの火妖術によって大やけどを負わされてしまった。


「痛いっ!! ああああぁっ!?」


「死ぬぅっ!? このままじゃ死んじまうっ!?」


「い、いやだぁっ!! 死にたくないぃいぃっ!!」


 泣き喚き、転げ回る男たち。


「仕方ありませんわね。ここはわたくしの治療魔法の出番ですわ」


 ローズが前に出てくる。

 ヒナタのうっかりミスをフォローするためだ。

 いくらチンピラ相手とはいえ、このままではヒナタが殺人犯になる可能性がある。

 まぁ実際には、先に絡んできたチンピラたちが『死ねやぁ!!』と叫んでいたこともあり、正当防衛の要素もあるのだが……。


「お、お前は治療魔法を使えるのか!?」


「早くしろや、ゴラァ!」


「俺たちを舐めやがって! 出るとこ出てもいいんだぞ、オラッ!!」


 口々に叫ぶチンピラたち。

 一見すると強気な印象を受けるのだが、大やけどを負った足をバタバタさせて這いつくばっているその姿は滑稽でしかない。

 実力行使は諦め、『出るとこ出てもいい』と脅すあたりに小物感が出ている。

 シルヴィやヒナタの凄まじい実力を知り、この体たらくだ。

 そんな彼らを半ば無視し、ローズは治癒魔法を行使した。


「――【リフレッシュ】」


 次の瞬間、男たちの傷がみるみる癒えていく。

 その様子を見ていたミルキーやルンたちが感心したように頷いた。


「さすがはローズ嬢だな」


「凄いですぅ!」


「あの人たち、すぐに元気になりそうですね!」


 チセが目を輝かせる。

 そんな一同の視線を受けつつ、ローズは治療を一段落させた。

 足の痛みが収まったのか、男たちの表情が幾分か和らぐ。


「ふぅ……これで大丈夫でしょう」


「ちっ! 遅ぇんだよ!!」


「今のは痛かったぜ! マジで死ぬかと思った!!」


「お前ら、覚えてろよ! 絶対に許さねぇからな!?」


 文句を言いつつも、とりあえず立ち上がる男たち。

 彼らは火傷した足をさすり、調子を確かめてからユヅキたちに向き直る。

 そしてニヤリと笑うと、挑発的な態度で言った。


「へへっ。足を治したのは失敗だったんじゃねぇか?」


「もう油断しねぇぜ? 今度こそ、詫び入れついでに俺たちに付き合ってもらおうじゃねぇか!」


 ヘラヘラと笑う男たち。

 驚くべきことに、シルヴィ、ヒナタ、ローズの実力を体感しながら、まだ諦めていないようだ。

 彼女たちが見せつけたのが、それぞれ魔法や妖術だったというのも関係しているだろう。

 魔法に気をつければ、やられることはないはずと過信しているのだ。

 しかしそんな彼に対し、ユヅキたちは冷ややかな視線を向けていた。

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