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603話 玉の輿

 コウタがギルマスと面談している間、『悠久の風』の面々はギルドにあるテーブルを借りてくつろいでいた。

 そんな中、受付嬢のタニアがセリアに話しかけてきた。

 彼女たちは、冒険者ギルド受付嬢のキャリア採用組として知り合い同士だったのだ。


「セリアちゃんも落ちぶれたものね。冒険者なんて、いつ死ぬか分からないような職業なのに……」


「あはは……。確かに危ない仕事だけど、やりがいはありますにゃ」


 セリアが苦笑しながら答える。

 実際、冒険者の仕事は危険が多い反面、得られるものも大きいのだ。

 もちろん、収入や社会的地位も相応に高くなる。

 その分だけリスクも大きくなるわけだが……。

 富や名声を求める上昇志向の男性や、荒事でしか稼げない男性にとっては、魅力的な選択肢でもある。

 逆に言えば、タニアのように『そこそこ稼ぎたい。ただし、危険なことは嫌だ』という女性が冒険者になることはない。


「ふーん。私には分からないわね」


「タニアちゃんは玉の輿狙いだったですからにゃぁ」


「ええ、その通りよ。自分で稼ぐより、男に稼いでもらった方が楽だわ」


 タニアはあっさりと言い放つ。

 彼女は見た目こそ美人だが、中身はかなり強かな性格をしていた。

 自分自身も、冒険者ギルド受付嬢でキャリア採用される程度には優秀。

 それだけで満足せず、上昇婚を狙っていたのだ。


「私は見事、玉の輿に成功したわ! 今は幸せよ!!」


「それは良かったですにゃぁ」


 自慢げなタニアの言葉に、セリアが頷く。

 実際に幸せなのだろうと感じられた。

 彼女の表情からは自信のようなものが感じられるのだ。

 おそらく今の生活には満足しているのだろうと推測できる。


「お相手はどんな人なのですにゃ?」


「ん~とね。大商人の息子なんだけど、私みたいな庶民の女にも優しくて紳士的なのよ!」


 タニアはそう言って微笑む。

 一見すると惚気ているだけのように見えたが、その目にはどこか打算的な感情を感じられた。


(うわぁ……)


 これは間違いなく金目当てだなと思ったものの、口にはしない。

 下手に口を出すと面倒なことになりそうだからである。

 ただ、心の中で思うくらいは許されるだろうと思い、小さくため息を吐くに留めておいた。


(それにしても商人ですかにゃぁ……)


 セリアが属する『悠久の風』に商人はいない。

 冒険者なので、職業としての商人がいないのはある意味当然ではある。

 だが、この世界には『商人』というジョブがある。

 Aランクパーティ『悠久の風』には、強力な戦闘職のメンバーがいる一方で、様々な生産職持ちも在籍している。

 例えば『鍛冶師』系のミナ、『料理人』系のリン、『調合師』系のエメラダなどだ。

 ここに来て、『商人』持ちのメンバーがいないことはパーティに若干の不安要素をもたらしていた。

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