481話 崩落する地下室からの脱出
地下で生き埋めになりかけていた俺たち『悠久の風』だが、セリアとミナの連携プレイにより、一筋の光を見出すことに成功した。
「あそこから脱出するぞっ! 先に行けっ! シルヴィ、ユヅキ、グレイス!」
「はいっ!」
「わかった!」
「お先に失礼するぜ!」
3人がそれぞれ自分の脚で地上へと向かう。
この彼女たちは、『悠久の風』の中で中上位の脚力を持つ者たちだ。
人のサポートにまで手は回らないが、自分のみの移動であれば俊敏に動くことができる。
「次だ! リン、行けそうか!?」
「へへっ。任せときなって!」
「よろしくお願いするのです」
「もうヘトヘトですにゃあ。私の命運はリンさんに掛かっていますのにゃ」
リンの脚力は強い。
そのため、彼女にはミナとセリアを担いでもらう。
「なかなか大変だろうが、ここが踏ん張りどころだ。頑張ってくれ!」
「問題ねぇよ。それより、コウタっちの方こそ大丈夫なのか?」
「ああ、もちろんだ。ほらみんな、掴まってくれ」
「よろしくお願いいたしますわ」
「……ぎゅっ……」
「……えっと。よろしくお願いしますね」
リーダーである俺は、ローズ、ティータ、エメラダの3人を担いで移動することになる。
こちらもかなり大変だが、やるしかない。
彼女たちは近接系のジョブをあまり育てていないので、脚力がまだまだ育っていないのだ。
ガララッ……!
俺がみんなを運び始めると同時に、瓦礫が崩れ落ちてくる。
「やべぇ! こりゃ本格的に急がないと!」
「ああ、このままじゃギリギリ間に合わんかもしれん」
俺とリンは高速で並走しながらそう声を掛け合う。
「リン、もう少しスピードを出せるか?」
「闘気を振り絞ればいけるぜ。コウタっちは?」
「俺も似たようなものだ。脱出後に無防備になるが……。そこはシルヴィたちに任せようか」
「そうだな。いくぜっ!」
「「うおおおおぉっ!!!」」
俺とリンは全力を出し、地上へと駆け上がっていく。
そのときだった。
「にゃ、にゃにゃぁっ!? 手が滑ったにゃ!」
「なにぃっ!?」
出口付近にまで辿り着いたとき、セリアがリンの背中から落ちたのだった。




