204話 森の探索
エルフの集落にやって来てから数日が経過した。
里の内部をあちこち見学させてもらった。
そして、今日は狩りに出かける日である。
メンバーはいつも通りだ。
俺、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リン、ティータ、ローズの7人である。
「おはようございます!」
元気良く挨拶するのはシルヴィだ。
彼女はすっかりエルフの里に馴染んでいる。
「おはよう、みんな」
俺はあいさつを返して、荷物を受け取る。
彼女が用意してくれた今日の食料が入っているのだ。
「よし、それじゃ出発するか」
俺の言葉で、皆が歩き出す。
道程は順調だ。
特に問題もなく、森の奥へと進んでいく。
エルフは森を愛する。
しかし、一切の殺傷や伐採を禁じているわけではない。
むしろ、適度に狩りや伐採を行い、森の中のバランスを保つように心がけているという。
そういう意味で、彼らは自然とともに生きていると言えよう。
そんなことを考えながら歩いていると、先頭を行くシルヴィが何かを見つけたようだ。
「あれ? 誰か倒れていますよ?」
近づいてみると、それは人族の少年だった。
灰色を基調とした服を着ている。
「どうしたんだ?」
慌てて駆け寄ると、彼は息も絶え絶えの様子で苦しんでいる。
額に手を当てると熱があることがわかった。
「ひどい熱ですね……」
ローズが呟く。
「ああ。まずいな」
このまま放っておけば、間違いなく命に関わるだろう。
「とにかく、どこか休める場所に連れていかないと」
そう言って、俺は彼を抱き上げる。
せっかくここまで来たが、一度里に戻るのがよさそうか?
「……少し先に安全地帯がある。ティータが案内する……」
先導するティータについていくことにした。
しばらく歩くと、大きな花畑が見えてきた。
そこが安全地帯らしい。
「ここでいいのか?」
俺は抱えていた少年を降ろして尋ねる。
「……うん。ここなら安全。魔力の溜まり場になっていて、結界が維持されている……」
結界魔法か。
MSCでもあった魔法だ。
もちろん『結界魔法使い』というジョブもある。
ちなみに、結界魔法の適性を持つ者はそこそこ貴重だ。
エルフの中で適性を持っていた者が頑張って張ったのだろう。
通常なら時間経過で結界は霧散するが、この地に集まってくる魔力をうまく利用して長期間維持しているようだな。
「とりあえず、彼を寝かせよう」
ユヅキの提案に従い、俺は草の上に毛布を敷いて、その上にそっと寝かせた。
そして、彼の容態を確認する。
呼吸が荒い。
汗も出ており、体温がかなり高いことがわかる。
風邪だろうか?
「わたくしの治療魔法を試してみましょう」
ローズがそう言う。
「そうだな。頼む」
俺がそう答えると、ローズは治療魔法を発動させた。
淡い光が少年の身体を包み込む。
すると、徐々に顔色が戻ってきたのだった。




