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18話 エルカ樹海

 『大地の轟き』と臨時パーティを組んで、1週間が経過した。

 この1週間で、きっちり連携を深めておいた。

 また、各自の戦闘能力も互いに確認した。


 彼ら5人はまだ土魔法を使えないそうだ。

 しかし、獣剣士としてはそこそこの戦力にはなる。

 ユヅキもユーヤも、最低限の剣さばきはできている。


 今日は、エルカ樹海に挑戦することになる。

 俺、シルヴィ、ユヅキ、ユーヤ、他3名。

 みんなでエルカ草原の端までやってきたところだ。


「さて……。いよいよ、エルカ樹海に足を踏み入れることになる。打ち合わせ通り、フォレストゴブリン、ポイズンコブラ、クレイジーラビットなどに注意しろ」


 俺はそう言う。

 もちろん言うまでなくみんなわかっていることだが、あらためて言うことで意識を引き締めてもらうのだ。


「が、がんばろう。この1週間でちゃんと練習したし、だいじょうぶだと思う」


「へへっ。ラクショーだ! さっさと入ろうぜ」


 ユヅキは適度に緊張しているが、ユーヤは楽観的だ。

 まあ、彼は5人の中のリーダー格で、やや強いしな、

 多少調子に乗ってしまうのもわからないでもない。


「シルヴィも平気か?」


「もちろんです! お気遣いいただき、ありがとうございます。ご主人様」


 シルヴィのジョブレベルは、おそらく獣戦士レベル5のままだ。

 俺の風魔法使いと剣士も同様で、変わっていない。

 やはり、エルカ草原でホーンラビットやゴブリンを狩るだけではレベリング効率は落ちてくる。

 そろそろ上がってもいい頃だとは思うのだが……。


「よし。各自、気を引き締めていくぞ」


 俺たちは隊列を整え、エルカ樹海に入っていく。

 とはいえ、1歩踏み入れただけで極端に何かが変わるわけでもない。

 しばらくは、平和に進んでいく。

 そしてーー。


 ガサガサッ!

 不意に、茂みが揺れた。


「ぎいぃっ!」


 魔物だ。

 この魔物はーー。


「ゴブリン。いや、フォレストゴブリンか」


 俺はそう言う。

 ゴブリンの亜種で、通常のゴブリンよりも少し強い。

 とはいえ、分類上は下級だ。


「打ち合わせ通りにいきます! ユヅキさん、それにみなさん。いきますよ!」


 シルヴィがそう言って、フォレストゴブリンに駆け出す。


 戦法はこうだ。

 まず、俺以外の6人で魔物に近接戦を仕掛ける。

 そのまま討伐できればよし。

 長引くようであれば、タイミングを見て離脱してもらい、俺の風魔法を打ち込む。


 シンプルだが、悪くない戦法だろう。

 というか、これ以外の戦法は組みづらい。

 『大地の轟き』は全員が獣剣士だからな。

 できることが偏っているのだ。


「せいっ!」


「ていっ!」


「おらぁ!」


 シルヴィ、ユヅキ、ユーヤ。

 それに他の3人。

 それぞれ、きちんとフォレストゴブリンに攻撃を入れている。


 しばらくして、フォレストゴブリンは虚空に消えた。

 後には魔石が残される。

 討伐完了だ。


「いい感じだったな。俺の出番はなしか」


 まあ、通常のゴブリンであれば1人でも倒せるし、2人なら余裕で倒せる。

 多少強いフォレストゴブリンであっても、6人がかりなら勝てないほうがおかしい。


「そ、そうだね。僕たちの練習の成果が出た」


「だが、これぽっちの魔石じゃ、大した稼ぎにはならねェぜ。なにせ7人もいるんだしよ」


 確かに、ユーヤの言う通りだ。

 フォレストゴブリンから出る魔石は、大した魔石ではない。

 通常のゴブリンよりも少しだけ魔力が込められている程度だ。


「焦るな。もう少し奥にいけば、フォレストゴブリンの群れや、他の魔物もいるだろう。油断せずに行くぞ」


「承知しました!」


「わ、わかった」


 俺の注意の声に、シルヴィとユヅキがそう答える。


「よっしゃ。ガンガン行くぜェ!」


 ユーヤはこのフォレストゴブリンの討伐で自信を深めたのか、ますます調子に乗っている。

 暴走しないように、注意して見ておかないとな。


 俺たちはまた、森の奥に向けて歩みを進めていく。

 そしてーー。


 ガサガサッ!

 茂みが揺れた。


「ぎいぃっ!」


「ぎゃおおぉっ!」


 またフォレストゴブリンか。

 しかし、今回はーー。


「フォレストゴブリンの群れだ! 数は6体! 各自、気を引き締めろ!」


 ちょうど、こっちの前衛と同じ数だ。

 フォレストゴブリン相手であれば、Eランク冒険者でも1対1で倒せないことはない。


 俺なら余裕だ。

 シルヴィでもギリギリ可能。

 ユーヤもたぶんだいじょうぶ。

 しかし、ユヅキや他の3人は少し厳しいかもしれない。


「みんな! 俺が風魔法を使うから、タイミングを見て離脱してくれ!」


「承知しました!」


「りょ、りょうかい!」


「わかったぜ!」


 エルカ草原で、通常のゴブリン相手にも練習してきたことだ。

 詠唱の文言なども、事前に打ち合わせ済みである。

 落ち着いて対処すれば、問題ない。


「揺蕩う風の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。風の刃を生み出し、我が眼前の敵を切り裂け」


 俺は風魔法の詠唱を進めていく。

 もう少しで詠唱が終わるというタイミングで、ちゃんとみんな離脱してくれた。

 

 俺はみんなが離脱したことを確認して、風魔法の最後の一節を唱える。


「ウインドカッター!!!」


 ザシュッ!

 ザシュザシュッ!

 風の刃がフォレストゴブリンを襲う。


「ぎいぃ!」


「ぎゃおおぉっ!」


 フォレストゴブリンは悲鳴を上げつつ、絶命した。

 後には、魔石が残される。

 通常のゴブリンより少し良質な魔石が、同時に6個。

 悪くない効率である。

 その分、少しリスクはあるが。


 ……おっ!

 俺のレベルが上がった。

 レベリングの効率も、エルカ草原よりもよさそうだ。



コウタ

種族:人族

ファーストジョブ:風魔法使いレベル10

セカンドジョブ:剣士レベル9

HP:E+++

MP:D+

闘気:E++

腕力:E++++

脚力:E+

器用:E+


システムスキル:

ジョブ設定

経験値ブースト


アクティブスキル:

ウインドカッター

エアバースト

ラッシュ



 今回は剣士のレベルが8から9に上がった。

 風魔法使いのレベルアップもそろそろだろう。


 中級の魔物を討伐できれば、話は早い。

 ミッションを達成できるからな。



ミッション

中級以上の魔物を討伐せよ。

報酬:『パーティメンバー設定』の開放、『パーティメンバー経験値ブースト』、経験値(小)



 『パーティメンバー設定』とやらを早く試したい。

 『パーティメンバー経験値ブースト』も魅力的だ。

 それに、おまけ程度に付いている経験値(小)が入れば、さらなるジョブのレベルアップも期待できるだろう。


 シルヴィや『大地の轟き』の面々と力を合わせればだいじょうぶだ。

 エルカ樹海のもう少し奥に足を踏み入れることにしよう。

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― 新着の感想 ―
他3名が一切喋らないのはかなり違和感
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