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103話 鉄拳制裁

 ミナの家で、『火魔法使い』のジョブの習得に挑戦しているところだ。

 正直に説明しても納得してくれるとは思えないので、やや強行な策に出ている。

 まあ、終わった後で説明すればいいだろう。


「うう……。縄が食い込んで少し痛いのです」


 ミナが苦痛を感じた表情でそう言う。


「なにっ!? それは申し訳ない」


 縛りプレイとロウソクプレイを強要しておいて何だが、俺には彼女を苦しめるつもりはなかった。


「ここが痛むのか?」


「その上あたりなのです」


「ああ、確かキツめに縛っているな……。少し緩めようにも、なかなか難しい」


 ガチガチに縛ったロープを緩めるのは難しいものだ。


「一度切ってしまうといいのです」


「それもそうだな。あとでもう一度最初から縛ろう」


 チョキン。

 俺は縄を切る。

 ミナの腕が自由になる。


「コウタくんはバカなのです?」


 ミナが拳をポキポキと鳴らし、凄む。


「なにっ!? し、しまった!」


 今さら焦ってももう遅い。

 怒ったミナがこちらに近づいてきている。


「とりあえず……一発なのです!!!」


「ぐはあっ!」


 ドゴオン!!!

 俺はミナからの強烈なパンチをもらい、壁に激突する。


「む、無念……」


 俺は倒れ込む。

 全身が痛い。


 これが強引に迫った男の末路か……。

 すまねえ、シルヴィ。

 俺はもう帰れないみたいだ……。

 そう諦めかけたときーー。


「ほら、コウタくん。起きてなのです」


 ミナが俺を抱き起こす。


「す、すまないな」


 自分を縛り付けた男を介抱するとは。

 ミナの器は大きい。


「それで、どうしてこんなことをしたのです?」


「あ、ああ……。実はな……」


 俺は火魔法の取得条件のことを話す。

 肝心なのは、ロウソクプレイだ。

 必ずしもロウソクでなくてもいいのだが、要するに火を体で感じることが大切である。

 MSCでの経験則上では、信頼関係のある男女がパートナーに縛ってもらった上で、ロウソクのロウを垂らすのが最も効率的だったのだ。


「ええ……。とても信じられないのです。いくらコウタくんが言うこととはいえ……」


 ミナが怪訝な顔をする。

 オリハルコンの件や、その後の普段の狩りで彼女とは信頼関係を構築できている。

 しかし、このトンデモ理論によるジョブの取得を容易には信じてもらえないと。


 そりゃそうだ。

 俺が彼女の立場なら、絶対に信じない。

 だからこそ、やや強引な展開で強行したのである。


「論より証拠。実際にジョブを設定してみよう」


 先ほどミナのステータスを確認したところ、無事に『火魔法使い』のジョブが追加されていた。

 『ジョブ設定』スキルを用いて、ミナのジョブに『火魔法使い』を設定してみることにしよう。

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