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真っ青になるオーガ

 小生は霧を睨みながら、背中に残っているもう2枚の翼を射出した。

 実は前翼と後翼では、得意とする分野が違っていたりする。


 後翼の1枚が地面を湿らせてぬかるみを作る間に、もう1枚は物陰に隠れた。

 そばの獣道を村人が走り、後を3匹の幼体ゴブリンが追ってくる。

「た、助けてくれー!」

「ぐははははは……〇ねぇ!」


「ぼごは!?」

 タイミングよく翼が木の枝に風魔法を放ったため、木の枝が落ち、ゴブリン3匹の脳天に直撃した。

 そして、動かなくなったところをグサリとやるのが後翼好みの戦闘スタイルである。


「キャインキャインキャイン!」

 別の場所では、ヘルウルフがまとめて10頭ほど2枚の翼に切り刻まれていた。

 たっぷりと狼たちを撃退した翼2枚は木の影に隠れ、幼体ゴブリンの第2陣が駆けつけるのを待った。


 第2陣は気楽そうに歩いていたが、壊滅した第1陣を見て表情を変えていた。

「な、な、なんだこデ!?」

 2枚の翼の片方は、部隊後方の木の影から飛び出し、もう1枚はゴブリンたちの真上から襲い掛かっていく。

「ほぶら!?」

「がぶへ!」



 一方その頃、小生は後ろから声をかけられた。

「ユニコーンさん、集めてきたよ!」

 若者たちは石を抱えて戻ってきた。リーダー風の男の子なんて15個くらい持ってきてる。上出来だね。

「じゃあ、歓迎会しようか……ついてきて」



 小生はゆっくりと歩くと、森の中をさ迷い歩いていた食人鬼オーガがこちらを睨んだ。

 トロルやホブゴブリンと比べても、感覚が鋭いようだ。

「気を付けろ、あいつはただの馬じゃないぞ!」

「ぎょ、ギョイッヒー!」


 オーガが、行けと指示を出すように唸ると、岩巨人トロル5体とホブゴブリン10体が向かってきた。

 一方で小生は、射出した全ての翼を背中に戻すと、角を光らせた。


「ウインドナイフ」

 風魔導士なら誰でも使える基本中の基本魔法。ナイフのように短い風を放つ投射魔法だけど、ホブゴブリンならこれで十分だ。

「はぼはらっ!?」

 当たったホブゴブリンが瀕死に陥ると、周りにいたホブゴブリンは驚き止まった。

「何だ……いまの?」

「うそ……!?」


 隙あり。と思いながら、小生は立て続けにウインドナイフを放った。

 次々とホブゴブリンは風の短剣の餌食となり、瀕死の状態で地面に横たわっていく。

「なげぶ!?」

「はごばぶ!?」


 少年少女たちは、固まったままゆっくりと小生を見た。

「す、すげえ……」

「ちょっと待って、ホブゴブリンって、王国のエリート兵士と互角のはずだろ!」

「まるで大人と子供のケンカだ……」

 小生はすぐに少年少女に指示を出した。

「ゴブリンに石をぶつけて止めを!」

「は、はい!」


 既に瀕死状態だったホブゴブリンは、石をぶつけられただけでも十分に止めとなる。

 こうすることで若者たちのレベルは上がるし、モンスターを倒したことで度胸もつくから一石二鳥だ。

「このやろー!」

「魔界に帰れ!」

「ぎゃあ」

「のヴぁあ!」


 さて、問題は固いトロルだ。

 普通ならメイスとか斧みたいな破壊力のある武器で倒すモンスターだ。さすがに風の基本魔法じゃ威力が低すぎて倒すのに一苦労だろう。


 試しに、ウインドナイフの上位術であるエアジャベリンならどうなるだろう?

 貫通力のあるエアジャベリンは、一撃でトロルの胴を貫き、背後にいたトロルまで破壊してしまった。

「ひでご……!?」


 あ……ちょっと強すぎたか。じゃあ、考え方を変えて水属性のウォータースイングならどうだろう。

 水塊を放ってみるとトロルの体を吹き飛ばし、岩に叩きつけてしまった。


 トロルの千切れた手が飛んできて、小生の足元で岩に戻っていく。よく見ると単なる急増品じゃないか。

 再びオーガを睨むと、オーガは真っ赤な顔を真っ青にして逃げ出した。


「追撃は~しないの?」

 グラディウスが聞いてきたので、小生は頷いた。

「うん、下手に深追いすると思わぬ反撃を受けそうだからね」


 よく見るとトロルの1体が、体を微妙に動かしていた。

《グラディウス、馬になってあいつを蹴飛ばしてきて》

《わかった~》


 こうしてグラディウスのレベルは27に、少年少女たちのレベルが8、6、6、5に上がった。小生のレベルは……まだ秘密だよ。


 あ、そうだ。この森での戦いで霧が役に立つことがわかったから強化しておこう。

 霧の魔法を強化……100ポイントか。

 手持ちのポイントは407ポイントだから、307ポイントを残せば緊急時にいろいろと強化できる。


 角が光ると、小生の霧の拡散範囲や濃度、更に付加できる能力が追加された。

【逃亡したオーガ隊長からのお願い】

 よう、俺様のやられっぷりはどうだった?

 まだ生きてるから、もう一度くらい出番をもらえる……かもしれない。


 そんな俺様から皆にお願いがある。

 ☆☆☆☆☆→★★★★★だ。だって、作者がこう指示して来るんだもん。


 俺様の次の出番が来るかどうかがかかっている。だから、やってくれ。頼む。お願いします。殿、お願い申し上げまする!


 次回は……8話。

 何だか、村人どもが深刻な話をしているらしいぞ。

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