戦災から逃れた人々の村
人間たちの集落が見えてくると、すぐにグラディウスがテレパシーを使ってきた。
《村……というより、森の中にある難民のたまり場だね~》
《そうだね》
この村に集まっていたのは、背が低めで茶髪の人々だった。
彼らはありあわせの布でテントを作り、女性と子供の姿しか見えない家族は珍しくなく、年寄りと子供だけという場所や、子供しかいない場所もあった。
「ハラへったよぉ……」
「夕食までガマンしろ。あまり食べると明日の分がなくなる」
「そんなぁ」
彼らはじっとしていられなかったのか、小生たちのいる村はずれの空き地にまで姿を見せた。
「あ、すごい……馬がいるよ!」
「ああ、本当だ……」
グラディウスはにっこりと笑った。
「ねえ、ぼくたち……村長さんはいる~?」
子供はすぐに答えた。
「そんちょーさんならおとーさんたちといっしょに、むこうでマゾクとたたかってるよ」
「わかったわ……ありがとう」
グラディウスはすぐに小生を見た。
《これは、待たせてもらうしかないかな~?》
《それしかなさそうだね》
とは言ったものの、慣れない土地で何の情報もないのは困る。
《少し、あの木陰で休んでいい?》
《わかった、イタズラされないように見張ってるよ》
小生は物陰で意識を集中すると、背中の翼を1枚だけ具現化し、村人たちに気付かれないように空に向かって放った。
こうすれば、翼に小生の意識が翼に乗って上空を偵察することができる。
我ながら重宝する能力だが欠点がひとつ。
翼の行動範囲は限られているので、調子のいい時で3キロメートルよりも先は、よく偵察できないんだ。
南東におよそ3キロメートルまで進むと、小規模の戦闘が起こっていることがわかった。
先ほどの村にいた人々と同じ身なりをした人々と、魔族と思われる一団が交戦している。
――魔族……!? この規模の勢力は普通なら、暗黒磁場の強い場所にしか出ないぞ!?
壮年の男性は果敢にも指揮を執りながら戦っていたが、旗色は良くない。
観戦から7分ほどで、右辺を崩された村人たちは次々と魔族に倒され、後方にいた僅かな人々だけが、命からがらという様子で潰走していた。
――魔族に人間の女性や子供を与えると面倒なことになるな。ここは何としてもあそこを死守しないと……
小生は急いで翼を自分の元へと呼び寄せた。
【グラディウスからのお願い】
何だか大変なことになってきたなぁ~
いよいよ魔物との戦闘が始まりますが、その前にグラディウスからのお願いです。
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いよいよ、カッツバルゲルの本気が見られます。次回もこうご期待!