冬の来訪
森がすっかりと雪化粧をしたとき、父コンドコソトレルは戻ってきた。
「お帰り父さん。どうだった?」
「これと言って新しい手掛かりは得られなかったな」
彼はそう言いながら背負ってきた袋を下ろした。
「土産だ。国づくりに役立てるといい」
中を見てみると、金貨がたっぷりと入っていた。
お父さんは一体どうやって、これほどのお金を手に入れたのだろう。
少し記憶をたどってみると容易に想像がついた。
「もしかして、琥珀を売ってきた?」
「よくわかったな」
彼は頷くと言った。
「大聖堂に琥珀の部屋を作ることにした」
「大聖堂って、教会を大きくした施設だよね? 普通は王宮に作るものなんじゃ……?」
「どうやら、市民たちから神のおひざ元に相応しい部屋が欲しいと頼まれたそうだ。というか、ポニースキー殿の住まいは質素だったぞ」
話をしていると、騎士リチャードがやってきた。
「カッツ様、無事に温泉施設が……おお! コンド様、お帰りなさいませ!!」
お父さんは温泉という言葉に興味を示した。
「温泉?」
「ああ、実はお父さんがタテガミ地方に行っている間に、湯源があることに気付いたんだよ」
「ほう……」
「長旅でお疲れでしょう。ご案内いたします」
父と小生は、体をお湯で洗ってもらうとゆっくりと湯船に浸かった。
「良い湯加減だな」
「噂には聞いていたけど入るのは初めてだよ。これは凄いね……体中の血の巡りが良くなっている」
「そうか。カッツは温泉は初めてか」
「シッポンにはあるの?」
「ああ、あそこは火山活動が活発だからな」
「な、何だか……凄そうな島だね」
「黄金の国の異名があるくらいだからな」
父は冗談っぽく言った。
「この山の近くにも、金脈もあるかもしれんな」
「ははははは……もしそんなものが見つかったら、悪魔だけでなく周辺諸侯までなだれ込んでくるよ」
「違いない」
「そんなお父さんとお兄ちゃんに残念なお知らせです」
男湯に乗り込んできたのは、何とスティレットと馬の姿のグラディウスだった。
「川原の石を加工していたら、こんなものを見つけちゃった」
グラディウスは咥えていた大粒の石を置いた。
「こ、これは……銀!?」
そう叫ぶと、グラディウスは冷静に言った。
「牧場の石を加工していたら出てきたんだ。ユニコーン渓谷のどこかに、鉱脈があるんじゃないかな」
父さんの顔をそっと見ると、ひきつった顔をしていた。
「これが貴族たちの耳に入れば……戦争だな」
「うん、ただでさえこの辺りって水源になっているからね」
「どうする?」
小生は少し考えた。
「ここに銀や水資源があるから貴族たちは支配しようとする。つまり、攻め込んでもわりに合わないくらいの戦力を持つしかないよね」
小生はそこまで言うと、横目で影をしっかりと見た。
アビスランナーのような馬は、小生の群れの中では1頭として出さない。そう目だけで訴えた。




