その頃の魔法剣士一行
その日、ぐっすりと就寝していると、夢の中に魔法剣士一行が出てきた。
「あの大飯ぐらいがいなくなったから、食料がこんなに少なくて済むな」
魔法戦士は、さっきと同じようにニヤニヤと笑っていたけど、シスターは不満そうに言った。
「だからって肉ばかり食べ過ぎです。だれか野草を取って来ようとは思わないのですか?」
「……」
「……」
「まさか、カッツ君以外は誰も食べられる草を見分けられないのですか?」
「うるさい。何食おうが俺たちの勝手だろ!」
女狩人は、じっとポケットシェルターを眺めていたけど、やがて表情が青ざめた。
「ね、ねえ……ヤバいことに気付いちゃった」
「な、なんだよ?」
「このポケットシェルター、モノを入れるのも取り出すのも、12時間ごとに1回が限度みたい!」
「え、ええ~~~~~~~~~!?」
悲鳴が響き渡った後、しばらくのあいだダンジョンが静まりかえった。
「ちょ、ちょっと……何なのその制限!?」
「空間に干渉することに凄いエネルギーが必要なんだって。だから12時間充電しないと使えないトンデモアイテムみたい」
「なんだよそれ、じゃあ飯とかどーするんだ?」
シスターは不満そうに言った。
「荷物運びの馬……できれば牡馬を2頭ほど見つけるしかありませんね」
「に、2頭……!? どうして2頭!?」
女格闘家が聞くと、シスターは真顔で答えた。
「確かにカッツバルゲル君は、よく食べますが、その分力持ちでもありました。他の馬の1.5倍食べて2倍以上働く仔なのです」
一同が固まっていると、シスターは更に言った。
「しかも、この中で誰よりも早く敵の接近に気付くし、夜討ちを防いだことも1度や2度ではありません」
魔法剣士は不機嫌そうに言った。
「わかったよ。馬を2頭買ってくればいいんだろ!」
「まあ、今は魔族との戦争も激化していますから、馬の値段も高騰していますけどね」
しばらく沈黙が続いてから、魔法剣士は言った。
「マジかよ……売っても二束三文のくせに……クソ商人ども!」
「ちょっとちょっと! 買うにしてもお金はどーするの!?」
「そのポケットシェルターを売ったらどうですか? 12時間に1度しか使えないアイテムよりは、馬2頭の方が役に立つと思いますよ」
「ふ、ふざけんな! 何のために手に入れたのかわからねーじゃねえか!」
シスターは無表情で言った。
「決断は早い方がいいですよ。更に馬の価格が高騰することも十分に考えられます」
「ぐぬぬぬ……」
シスターが席を外すと、魔法剣士は唸るように言った。
「あのクソシスター。絶対に追放してやる」
「や、やめなよ……他に代わりはいないんだから」
「カッツの件で、もうこりごりだよ」
シスターが追放されたら、里に来てくれないかなぁ?
いろいろな冒険者チームにいたけど、小生がただの馬でないことを察していた唯一の人物だからね。彼女のためなら空くらい飛んであげるよ。
【シスターからのお願い】
皆さま、この度はわたくしどもカッツバルゲルに世話になってきたはずの者たちが、とんだ醜態をさらしてしまいました。
チームを代表して、お詫び申し上げます。
こんな時にこのようなお願いをするのは不躾ですが……せめて、作品やカッツバルゲルのお役に立ちたいので、この場を借りて申し上げさせてください。
広告バーナーの下にある☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて頂けると、作者のモチベーションが上がり、カッツバルゲルも喜ぶと思いますので、是非、よろしくお願いします。
次回は、ボクっ子ヒロイン登場。
またカッツバルゲルに逢える機会があれば、ぜひ彼女にもお会いしたいです。
では、これにて失礼いたします。