まってましたパーティー追放!
「やったぞ!」
リーダーである魔法剣士は、心の底から嬉しそうに笑った。
「こ、これが……ポケットシェルターだね」
「ああ、レア中のレアアイテムだ。これがあればもう、戦利品も装備も持ちたい放題だ」
「つまり……」
女格闘家が小生を睨むと、女狩人、最後にリーダーである魔法剣士もこちらを見た。
「そう、つまりもう……この大飯ぐらいは用無しって訳だ!」
魔王剣士は、そういうと小生の体に蹴りを入れた。
『いたいッ!』
女狩人や格闘家も、魔法剣士を支持するように小生に罵声を浴びせてきた。
「さっさと出て行け、この役立たず!」
「そうよ、ちっとも可愛くない不気味な黒毛馬!」
「この、金食い虫!」
鞭で引っぱたかれると、小生は叫び声を上げながら逃げ出した。
「はっはっはっは……せいせいしたぜ!」
「早く行きましょう。戻って来られても困るし」
「そうだな」
魔導剣士、格闘家、女狩人が高笑いするなか、後から歩いてきたシスターは、何が起こったのかわからない様子で目を白黒させていた。
小生もまた、木の後ろ側に隠れると声を殺しながら笑った。
視界に映っている388という数字は、小生たちユニコーンにとって何よりも代えがたい報酬だ。
この数字は、半年の間に貯めたレベルアップボーナスポイントである。
小生自身で2レベルが上がり、魔法剣士は101を、女狩人は95、女格闘家は93、シスターは97という報酬を小生に与えてくれた。
そして何よりも嬉しいのは、自分たちから小生を追い出してくれたことだ。
魔法剣士一行は、すでに110レベル前後になっているため、1レベル上げるだけでもとても骨の折れる冒険をしなければならない。
自分から出て行くという方法もあるが、これをすると罪悪感が残るし、下手に探し回られて故郷が見つかってしまうというのも不味い。
『本当に上手くやったなぁ……今回も』
なるべく物音を立てないように冒険者チームから離れているけど……どんどん尻尾が揺れていく。
ああ、もう、早く戻って家族や友達に自慢したい!
夕暮れ時になると、小生は夕暮れとは反対の東の空を眺めた。
既に空は暗くなっていて星がきらめき始めている。よし、今のタイミングならバレないだろう。
『よし……』
力を解放すると、70センチメートルほどの青い角と、ガラスのように薄く長い4枚の翼が現れた。この姿を今まで見られなくてよかったと思う。
だって、角の色を見ただけでどんな属性を使うユニコーンかわかってしまうし、欲張りな冒険者なら角を奪おうと襲ってくるだろう。
小生は細心の注意を払いながら、生まれ故郷を目指した。
ふるさとは馬の脚力でないと到底たどり着けない渓谷の果てにあるけれど、一角の者と言われる冒険者なら、たどり着けそうな気もする。
去年に生まれたばかりの妹がいる身としては、外敵が侵入する可能性は少しでも減らしたいところだ。
小生の里帰りは順調に進んでいたが、ん……複数の馬が横倒しになっていた。
何事も……なければいいのだけど……
【作者からのお願い】
おもしろい
続きが気になる
と思ったら、広告バーナーの下にある☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて頂けると幸いです。
よろしくお願いします!