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8.国王からのお呼び出し

少し短いです

 あれから数日が経ち、ハルトより伝えられていた国王へ会いに行く日になった。


お店の方は売り上げも上場で、初日よりはだいぶ落ち着いたが町の住人達が暇をみてはハーブティーを飲みに来てくれるようになった。だんだんと町に溶け込んでいく気がして、うれしい気持ちになる。


そして、ドアベルが鳴りお店に顔を出したのハルトは、「お待たせしました・・・。」と私と目があった瞬間右手で口元を隠してしまった。


「どうしたの?ハルトからもらった服変?」


今回、国王へ会いに行くということでハルトは私へ洋服をプレゼントしてくれたのだ。

貴族の方が着ていそうなこの衣装は装飾品もキラキラしていて、絶対にお金がかかっていそうなものだ。


「い・・・いえ、とてもよく似合っています。綺麗ですよレイラ。」


口元を抑えた手を外して私を見つめるハルトのまなざしに思わずドキッとしてしまう。


「ありがとう・・・。」


(そんな風に素直に褒められると私まで緊張してしまうではないか・・・)


「さぁ、そろそろ時間も押していますので行きましょう。」


そう言ってハルトは手を差し伸べて私に言った。

私は一瞬その手を取ることを戸惑いながら手を取り二人で馬車に乗り込んだ。



「国王への挨拶ですが、気さくな方なのでそんなに緊張はしなくても大丈夫ですからね。」


気さくとは言ってもこの王国のトップである。

緊張するのが当たり前なんじゃないの???


何も答えずにずっと下を向いていると、ハルトは何も言わず、袖を握り占めている私の手を取り王城につくまでその手を握り占めてくれていた。

私にはそれが心地よく感じ、自然と緊張が和らいだ。



****



しばらくして、馬車は王城へとたどりつき、ハルトのエスコートで馬車を降りればそこは別世界だった。


「こ・・・これが王城・・・。想像の500倍凄いわ・・・。」


「さぁ、行きますよ。こんな所で驚いていたら正面入口を見たら気絶してしまいそうですね。」


「え?!裏門なの?!これ?!」


私のビックリ仰天な発言は見事に笑顔でスルーされ、

ハルトのエスコートにより大きい扉の前まで来ると、「バートンリッヒ公爵家 王国騎士団長 ハルト・バートンリッヒと薬屋レイラが参上致しました。」っとハルトが言った。


それと同時に、重たそうな大きい扉はゆっくりと開いたのだ。


「よく来てくれたね。他のものは出ていけ。私はこの二人と話をする。」


部屋の中へハルトと入り周りを見渡せば、豪華すぎるほど広い部屋に窓からは庭に広がる池とお花畑が見える。部屋のど真ん中にやはり豪華すぎる机があり机を挟んだ奥に王は座っていた。


(王様すげぇえええ)


部屋の中にいた警備隊やメイドたちは王の命により部屋の外へ出ていく。私たち三人だけになったところで王様は口を開いた。


「さて、歓迎しよう。私はバージル・デルメシア、現国王でありハルトの友人でもある。あまり緊張はしないでくれ。って言っても緊張しちゃうよなぁ?」


っといって、バージル・デルメシアはニカッと笑顔を見せた。

部屋に入ってから頭を下げていたのでしっかりと顔を見ることはできなかったが、よくよく見るととても若い王様だ。


「え・・・」


思わず理解できずに間抜けな声が出てしまう。


「あぁ、レイラ気にしなくていいですよ。この人は人前では立派な王かもしれませんが、いつもはこんな感じです。久しぶりですねバージル。」


「ハルトはひどいな~俺だってこんな堅苦しいことしたくないんだよ?こちらがお前の可愛い猫ちゃんか。紹介してくれよ。」


「本当に相変わらずですね。はぁ。」とハルトはため息をついた後、「こちらが魔道錬金術師のレイラですよ。」などとざっくりと紹介をしてくれた。


そんな雑な紹介で大丈夫なの!?それに猫って何?!王様にまで猫だって思われてんの?!とハルトに聞きたいが緊張している私はただ、


「レイラです!お呼びいただきましてありがとうございます!」


そう言って、頭を全力で下げるしかなかった。



「いやいや〜、いつもポーションを納品してくれてこちらが助かっている。ありがとう。」と言って握手を交わしてくれた。


本当に思っていた王様とは違い、凄く親しみやすい方らしい。


その後、ハルトとバージルは本当に親しいようで、あれやこれやと色んな話をしているのをソファに座りながら見ていた。


突然バージルが私の方を向いて、


「レイラはどんなものでも調合できるかい?」


と聞いてきた。

思わず突然話を振られるものだからたどたどしくなってしまったが、「どんなものかにもよりますが・・・材料さえあればできると思います。」と答える。


「うん。いい自信だ。実は・・・私には3歳年下の妻がいる。今年で22歳だ。その妻が最近体調を壊してしまって全く良くならない。いろんな医者に見せてはいるがもう手はないと言われてしまった。レイラさえよければぜひ診てもらいたいのだが、可能だろうか?」


「私で良ければ診させて頂きます。」



バージルによると、妻であるユーリア妃に異変が現れたのは数か月前のことらしい。


朝起きて、ユーリア妃がベッドから出ようとしたとき足の指が硬直しているのに気付いたことがきっかけだ。動かそうとしても一切動かすことも出来ず、医師に障られても何も感じないということで不安になったユーリア妃は刺繍の針で指をさした。

なんとも痛そうな話ではあるが、痛みも何も感じなかったという。 それから日が増すごとに症状が悪化していき、今では顔と首と腕以外ほとんど動かないのだとか。

悲痛な顔で語った後、バージルは今にも泣きそうな顔をしながら私に「宜しく頼む。」と頭を下げたのだった。

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