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5.レイヴァルト・グランツデルバードの目覚め

レイヴァルト・グランツデルバード 視点です。

私、「レイヴァルト・グランツデルバード」は1000年前に滅びた吸血鬼である。

1000年ぶりに目覚めた夜は最悪だった。

降りしきる豪雨に、響く雷音。転生した先は捨て子であり成人するまでは普通の少年として暮らしていたが今日この度記憶を取り戻し、鏡の前で自分の姿を見れば昔と変わらない容姿があった。


「転生は成功したのだな・・・」


身体の中に流れる魔力を確認し、自分が普通の人間から吸血鬼に変化していることも確認をした。記憶が無ければ吸血鬼に代わることもなければ、血液が欲しいという衝動にも駆られないのである程度大きくなるまでは記憶がない方が便利なのである。覚醒してしまったらもう逆らうことはできないのだが・・・


吸血鬼といえども日光に当たっても別に死なないし、食事も普通に取れる。まぁ定期的に血液を摂取しなければならないが、人間でなくとも動物の血でも大丈夫なので困ったことはない。また日中は基本的に人間に化けている状態なので吸血鬼という存在も知られにくい。

ではどうやって死ぬのか。吸血鬼に覚醒すれば容姿も老いることはないし、ケガも一瞬で治っていく。


吸血鬼の殺し方は簡単ではない。

一度首を切り落としてから炎で葬らなければ瞬く間に再生する。

面倒な生き物である。


魔力が高いために、魔物界の王とも呼ばれているがそんなつもりは本人には微塵たりともないのである。


「さて、転生も成功したことだし、彼女を迎えにいかねば・・・」


そうして彼「レイヴァルト」は、自分が今まで何もしらず育ってきた孤児院に頭を下げ、自分の城へと向かうのであった。



****



レイヴァルトは考える。彼女の記憶を消して転生したが、彼女は今でもあのベッドに寝ているだろうか。

1000年越しの彼女である。容姿は変わっていないだろうか。黒い髪の毛に赤い目。雨の日は髪の毛がうねりそれもまた愛おしく可愛らしい。しばらく家を空けた後に「寂しかった」といってすがりついてくる彼女の瞳には涙が浮かんでいた。


彼女のことは彼女がまだ5歳の時から知っている。日に日に美しくなっていく彼女を目にずっと彼女の成長を見ていたいと思ったほどだ。


自分の城に足を進めるたびに彼女との思い出が頭の中を駆け巡り、早く会いたいという欲求に耐えられなくなる。


(あぁ、私の娘に早く会いたい・・・)


たどりついた城の門前でレイヴァルトは異変に気付く。

人がいる気配がしない・・・。寝ていようが起きていようが、身を潜めていてもレイヴァルトには人の匂いや気配がわかる。


額に汗を浮かべ、レイヴァルトは彼女を寝かせた部屋へ向かった。


部屋に入ってレイヴァルトは目を疑う。予想していたことではあるが、寝かせていた彼女がいないのである。

周りを見渡せば複数人の匂い。ベッドには魔力の痕跡がある。確かに彼女はここに寝ていたのだ。そこまでわかっても、あちこちに広がる様々な人間の匂いが誰なのかは流石にわからない。一度会ったことがある奴ならわかるが、ベッドに残る彼女の匂いしかわからない。


「・・・。」


レイヴァルトは考える。彼女の匂いや魔力は彼女が寝ていたであろうベッドから感じられるが、他の場所からは一切感じられない。


「隠蔽か・・・」


こうなるとレイヴァルトでも追えなくなる。まさかだった。

まさか自分がたどり着くよりも先に、彼女を連れ去る人間がいたとは・・・

非常に胸糞が悪くなるのが自分でもわかる。


パチンッっと指を鳴らすと自分の影から一匹のカラスが出てきた。


「カァ~カァ~(おはようございます。ご主人。)」


「あぁおはよう。バートル。早速で悪いが彼女の行方を追ってくれ」


「カァアア~(任せろ~)」


そう言ってバートルは彼女が寝ていた部屋の窓から静かに飛び立っていった。


バートルは僕の血を分けて生まれた眷属であり、1000年前に城で仕えていた下僕だ。

彼なら彼女の匂いがなくても、人間の言葉を頼りにどうにかして探し出せるだろう。


(翼があるのは便利だな・・・私も作ろうか・・・)


さて、僕も個人的に探さないとな・・・

まずは残りの眷属を目覚めさせ、彼女が帰ってきた時の為に城を復旧させねば。


あぁそうだ、彼女は記憶がないのだったな。

見つけたとしてもどうやって接触するかが問題だ・・・拒否されねば良いが・・・


「はぁ、やることは多い・・・」

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