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3.私は魔道錬金術師でした

 吸血鬼の話を聞いてから私はハルトの家に居候の身になった。

家の前についた時、普通ならこんなすごい家に!?と思うようなところだが私にはそういった感情がなかった。もっとすごい所に住んでいたかのように、少し小さくない?とまで思ってしまうぐらいだった。が、そんなことを口に出すのは失礼である。


門を潜れば美しい花がたくさん植わった庭があり、その先に可愛らしくその家は立っていた。こんなメルヘンな家に団長が住んでいるのか・・・と思えば「母がこういう趣味でして・・・」っとすかさず言い訳をいれてきた。背景がメルヘンでもこの人は似あうなぁ~と思うレイラであった。


そしてさっそく明朝から家を案内してくれている最中である。


「レイラは魔道適性があるといっていましたね。魔法の訓練でもしてみましょうか?何か思い出すかもしれません。」


「え、全く記憶にないんいど、記憶が無くても使える?」


適正があって、訓練してみますか?と聞かれてもいまいちピンとこない。

本当に使えるの?私が?魔法を?なんて不安に思っていたがその不安はすぐにかき消されることになる。


「まぁ要は、試しですね。」


そういいながら開けたお庭にたどり着いた。

お庭の隅っこには小さい小屋があり、私の興味は断然魔法よりもその小屋だった!


「あの!あの小屋はなんですか!?」


「あぁ、あれは昔使われていた魔道錬金術用の小屋です。ポーションなどを制作していたと聞きました。魔道錬金術師も以前は沢山いましたが、今ではいないに等しいのでポーションの物価も上がっています。」


ポーション!!!

ポーションが作れるの!!!


「見てもいいですか!??!?」


「え、えぇ」


私の心の中はなぜかわくわくでいっぱいだ。

小屋の扉をゆっくりあけると、埃はたくさんかぶっているがまだ綺麗な器具がたくさんならんでいた。


「すごい!凄い凄い凄い!窯もあるし!ポーション瓶まである!ビーカーもあるし!!んん?これは・・・」


目に付いた木箱の蓋を開けると


「うわぁああ!保存状態のいい「癒します草」がこんなに!!これはつまり私に今ポーションを作れと神様が言っているに違いない!!作ろう!!!!!」


「レイラ?君はもしかしてポーションを作れるのですか??」


「ふぇ」

たしかに今までの記憶がないのに、本来見たこともないような器具をみてテンションが上がり、癒します草の保存状態の良さや自分の口からでたポーション作ろう!みたいな発言

をしていた。

胸に手を当てて考えてみるが、確かに私が発言したもので・・・

でも私の心の中で私は、「私に作れないポーションはないんだよ!!!」ってちょうドヤ顔してる。


「なんか、作れるみたい?よくわかんないけど・・・作れるとおもう!!!」


そういった瞬間のハルトの顔は凄かった。

常に笑顔であるハルトは、明らかに笑っておらず困り果てた顔をしていた。そして、「・・・ではやってみて頂けますか?」っと一言だけ言ったのだ。


久しぶり?にポーションが作れると思ったとたんに腕がうずうずするのがわかる。


まず基本的なポーションを作ろう。

普通のポーション=傷を治すポーションのことだ。

材料は簡単。乾燥した「癒します草」に「きれいな水」そして、味を甘くしたいなら砂糖だ。

まぁ味のことはさておいて、とりあえず「きれいな水」から作ろう。


「きれいな水」は錬成からしか作成できないし手に入らない。

近くにあった井戸から水を汲み、魔法で水だけを出して球体とする。

錬金術で「分離」をして加熱をし「きれいな水」に錬成した後、鍋に「きれいな水」を入れる。


「鑑定」


名前 キレイな水

純度 100%

錬金術で錬成された水。


よし!そしたら次は「癒します草」だ。

癒します草は乾燥させた後に手作業ですりつぶす。手作業ですりつぶしながら自分の魔力を少し入れていくのだ。

鍋に入れたキレイな水を火にかけ、沸騰させた後にすりつぶした「癒します草」を入れる。

そして混ぜながら「ヒール」を唱え定着させていく。これが凄く難しい。


キレイな水と癒します草だけでもポーションは出来るのだが、全く効果がない。

ただの苦い草水なだけだ。ここからが本番。

簡単に言うと、水と油である。ただの水にヒールを定着させるだけじゃダメなの?とも思うかもしれないが、ただの水とヒールは定着されてもヒールの効果が薄くなってしまう。「ちょっと紙で指切っちゃった。てへっ。」ぐらいなら治せるかもしれないがそれだけならポーションを飲むほどでもない。


ポーションに求められるのは、ヒールが追い付かない場合や瀕死に対してだ。

飲むだけで全身の傷が治るぐらいでないとダメだ。

ポーションの上位互換にハイポーションというものがあるが、ハイポは普通のポーションと違って、瀕死の人や無くなった腕や足でも完璧に回復が出来る。

これが私が教わったポーションである。


まぁ誰に教わったかは全く覚えていないし思い出せない。


余談ではあるが、世間一般で知られているポーションとは全く効果のない癒します草と水を混ぜ合わせただけの草水でありレイラが作っているのは遥かに常識を超えたポーションであることをレイラが知るのはすぐである。


出来たポーションをポーション瓶に入れていく。

ポーションを入れたら蓋をして、中の空気を下から抜いたらポーションの完成だ!!


「できたぁあ!!!できたよ!!!!」


っとポーションをハルトの前にみてみてみて!と言わんばかりに突き出す。


「この赤いのがポーションなのですか・・・?」


「え、そうですよ?え?違うんですか?」


途端に冷や汗がかきはじめる。あれ・・・でもこうやって私は教えてもらったのに・・・

って誰に教えてもらったんだっけ?


「飲んでみても?」


「はい!味付けしてないので少し苦いと思いますが!」


ハルトはポンッとポーションの蓋を開けていっきにぐびぐびっと飲み干した。


飲んでからのハルトの様子がおかしい。

だって、飲んでから表情も変わらず、話もしない。ただひたすら眉間にしわを寄せてポーションと見つめあっている。


「もしもーし?ハルト~?ハルトさ~ん?」


ハルトの目の前で手を振ったり、ダンスをしてみたり?するが全く反応がないので、

ついにイラついてきてしまった私はハルトの耳元で「ハーールーーートォオオ!!」っと叫んだのだった。


「す・・・すみません・・・あまりに衝撃的すぎて、思考が一切追い付きませんでした・・・。」


「待っていて下さい。」そう言って小屋から出て行ったハルトは、戻ってきた際に黄緑色の変な液体を持ってきて「これが現在のポーションです。」といって渡してきた。

この黄緑色の汚い濁った色の水がポーション???それはあまりに衝撃だ。


私が作ったポーションは透き通るような赤色をしているのに比べて、これはどうだろう。まだ口にもしていないがきっと「癒します草」をそのまま煎じているだけだろうと思わせるような酷さと蓋を開けたときの匂いがハンパない。


「は・・・?これが・・・ポーション?」


「そうです。それが今高値で取引されているポーションです。」


私は信じられないという顔をしながら試しに、使ってみようと思い近くにあったナイフで指を切りつける。


「なっ!何をしているのですか!?」


「いやだって、効果を確認するためには自分の身体が一番わかりやすいとおもって・・・」


そういいながら、渡されたポーションを切り傷にかけ、ぐびっと飲んでみ・・・


「まぁああああっずううううううううううううううううい!!!ないこれ?!ただの草煎じただけの水じゃん!!!はぁ?!傷も治らんし!?これの何がポーションなの?!?!?ねぇ?」


前言撤回。指切っちゃった、てへっ。の切り傷も治せない!!ただのげろまず水だよ!

これが今のポーション!?


「それがポーションと呼ばれていますが、ポーションの役割を果たしていないことは騎士団全員がわかっています・・・。とりあえず、今後自分の身体を傷つけるようなことはやめてください。」


ハルトはそう言いながら私の手を握り「ヒール」を唱えてくれた。


(自分を平気で傷つけるのはやめてほしい・・・)


昔にもそんなことを言われた気がして、私は素直にコクンと頷いたのだった。

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