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13/19

6、



「約束の大金貨300枚です」


男は懐にしまってあった麻袋を大事そうに取り出すとテーブルの上に置いた。


「頂戴いたします」


僕は一枚一枚大金貨の枚数を確認すると、

保管してあった神々の見積書に男から見えないようにこっそりサインをした。



「確かにちゃんとあるようですね。

では、こちらがデウス魔鉱石です」


僕は左手に現れたデウス魔鉱石を男の前に差し出した。


「おぉ、まさか、もう手に入れてくださっていたのですか!


……これがデウス魔鉱石。


この溢れんばかりの強い魔力、そしてこの色、文献に載っていた通りだ」


 男は手に取ったデウス魔鉱石を食い入るように見ていた。



「ルゴルオール様、そちらで間違いございませんか?」


「あぁ、本当にありがとう。

これだ、これさえあれば……」


「それは良かった」


「本当に感謝します。

このお礼はまた近いうちに」


「いえいえ、礼には及びません。

わたしどもはそれに見合う対価を頂いていますから」



 男は金貨の入れてあった麻袋にデウス魔鉱石をしまい、懐に忍ばせると二度三度と頭を下げ

その場を後にした。





「ルフィア、この仮面って必要なのかしら? それにこの変な口調」


男が出て行ったあとナナは着けていた仮面を取り外した。


「リエルが必要だって言っていたけど……。


正体がバレると色々と面倒ごとに巻き込まれるかもしれないからとか。


おかげで僕なんか、テオなんて偽名まで使っているし」


「でも、そうね。用心に越したことはないかも。


ところでそのリエル、最近見かけないけど、どうしたの?」


「リエルは本業の冒険者やってるよ。

もうしばらくしたら戻ってくるんじゃないかな」


「ふーん」



扉の前に誰かいる。



「――どちら様ですか?」



僕は外した仮面をさっと取り付けるといつものように嘘くさい紳士のまねごとをした。


ナナは僕の一瞬の変わりように思わずぷっと吹き出していた。


ゆっくり扉が開くと少女がおずおずと店内に足を踏み入れた。



「あの、初めまして。 わたしはアンナ・イマイゼンといいます」


「イマイゼン? あぁ、ルゴルオール様の娘さんですか?」


「えぇ、そうです」


「それでどういったご用件でしょうか」


「その、私の願いを叶えて欲しいんです」


「……まずはこちらにお座りください」


「はい」


少女は警戒しながらゆっくり椅子に腰かけた。


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。


それで叶えたい願いとはなんですか?」



「パパとママを会わせて欲しいの。


そうすればきっとママが生きていた頃のやさしいパパに戻ると思うんです。


今のパパはオートマタに憑りつかれているんです」


「憑りつかれている?」


「はい。パパはオートマタが完成すれば、死んだ人間の魂をあの世から呼び戻せるって信じているんです」


「たしかオートマタは死者の魂を入れる器だと言っていましたね」


「そんな神様みたいな事、出来るはずないのに。


……それにママはそんな事望んでいないと思うんです」



「あなたがルゴルオール様、いえお父様に直接話せばわかってくれるのではないですか?」


アンナは黙って首を横に振った。


「憑りつかれているって言ったでしょ? 私の声なんか届かないわ。


……でもママと話せばきっと分かってくれると思うんです。


 だからママとパパを会わせて欲しいんです」



「なるほど。話はわかりました。

しかし望みを叶えるにはそれ相応の対価が必要になります」



「わかっています。

お、お金ならわたし、少しは持ってます。

いままでずっと貯めてきたんです。


本当は別の事に使うはずだったのだけれど……」


テーブルの上には彼女が財布から取り出した金貨数枚が転がっていた。



この年齢でこれだけの額のお金を貯めるとは、なかなか苦労したことだろう。


だが、きっと足らない。


「――残念ですが、あなたの願いを叶えるには、

わたしの経験上、この金額ではまったく足りないでしょう」


「そ、そんな、どうにかなりませんか?


 お金ならもう少しなんとかします!」



どうにかして彼女の夢を叶えてあげたいのは山々だけど……。



夢、……夢か



「もしかしたらなんとかなるかもしれません」


「本当ですか!」


「えぇ。ここは願いを叶える店”願叶堂”ですから」









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