モテる女子
「あー!」
遠くから聞こえる聞きなれた声。
「なんでなんでなんでなんでなんで!!!???」
声が大きいのは昔から変わらないなぁ。
「んー、どうしたの紗綾?」
わかってるけど。
「どうしたのじゃないよ!……ちょっとこっち来て!」
そう言われて女子トイレに連れられる。
「ねーねー」
急に小声になる。
「私には勿体無いでしょう?」
質問される内容なんてわかってる。いつもそうだから。
「えー!勿体無いってなに!お似合いなーのーにー!美男美女カップルだよ!」
ほら、やっぱり。
「それに、私には……」
「好きな人がいる?」
被せられた。
「そーお」
冷静に冷静に。
「もぉー誰だよー!いい加減教えてってばー」
ぶーぶーしながらいう紗綾。
「言わないよ、秘密だもの」
そう、言えない。
「親友なのに?」
「…うん」
親友。
…親友……私は。
「相談乗るのにー」
ぶーぶーしながら言う貴女は昔から可愛いね。
変わらないね。
「愛海はモテモテでいいなぁ」
好きな人に振り向いてもらえないから、
「もてないよ」
いくら他人に好かれたって、
「もててるよ、羨ましいなぁ」
意味がないのよ。
❮7月10日❯
また、愛海は告白された。羨ましい…笑