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第5話 買い物ですぅ

「とりあえず桜井さん、着替えない?」


 床にちょこんと座っているボロボロの布のようなものを一枚身に纏ったボサボサ頭のロングヘアー幽霊こと桜井奈緒さん。

 今思うと、桜井さんが着てる(纏ってる?)のって布一枚なんだよなぁ。

 ホームレスでもこんな格好してる人なんていないだろう。

 と言うか、その布の下は…。

 いや、失礼だ。

 自制心を保て僕!!

 僕は決して桜井さんに対してイヤらしい気持ちになったりしないぞ!!

 フンスッ!!

「やっぱりこんな格好じゃ、祐介さんに失礼ですよね…」

 桜井さんはボサボサ頭を掻きながら照れ笑いをする。

 ちょうど体全体を覆い尽くす一枚の布。

 その布の切れ目から桜井さんの綺麗な足が覗かせている。

 肌白いなぁ。

 …はっ!!

 ダメだぞ!!

 自制心を保て僕!!

「失礼ではないけど…、いろいろ困るでしょ?一枚の布じゃあ」

 むしろ僕が。

「そうですねぇ、確かに困ります」

「でしょ?」

「はい♪」

 じゃあちょっと待っててと、僕はクローゼットに向かった。

 …ま、まともなやつがないではないか。

 全部ヨレヨレだ。

 と言うより。

 僕は可愛いくまさんの上に“PERFECT BEAR”の文字がプリントされたヨレヨレのTシャツを持ちながら絶望した。


 服のセンス…。


「桜井さん、服買いに行こう!!」



 と言うわけで。

 僕と桜井さんは駅前のデパートにやって来ました。

「うわぁ、すごいですね!!人がいっぱい…。何か興奮します!!」

 桜井さんは人がたくさんいる所では興奮するの?

 そんな興奮している桜井さん。

 彼女は今、僕の着ているTシャツの“デザイン”としてこの場にいた。

 ん?

 どう言うことって?

 簡単に言ったらど根性ガエルのピョン吉みたいなものです。

 別に普通のままでも僕にしか見えないんだけど(霊感ある人なら見えちゃうかも)、何かそっちの方が面白いから。

 うん。

 周りの目なんて気にしない。


 そうこうしている内に、女物の服が売っている階に到着した。

 うわぁ…。

 予想はしてたけど、僕すっげぇ場違いだなぁ。

 何かギャル多いし。

 怖いなぁ。

「この服とか超可愛くない!?」

「ヤバいねこれ!!この可愛さマジヤバい!!」

 …あんたの化粧の濃さヤバくない?超ウケるんですけどぉー。

 僕はこのようにして、日々頭の中で気にくわない人を罵ってるんです。

 はい。

 陰気な奴なんです。

「祐介さん!!祐介さん!!」

「ん?桜井さんどうしたの?」

「あのワンピース可愛くないですか!?」

 ん?

 どれ?

 そう思いながら僕は桜井さんの視線の先に目を向けた。

 そこにはドレスのようなピンクの花柄のワンピースがあった。

 確かああ言うのは“マキシワンピ”と言うやつだ。

「ん~、ごめん。僕あんまりファッションに興味ないからちょっとわかんないなぁ」

 でも桜井さん似合いそう。

「本当ですか!?きゃはっ」

『きゃはっ』いただきました。

 と言うかまた心読まれた。

 …。

 これからあんまりエッtおおっと危ない危ない。

 とりあえず止めとこう。

「じゃあこれに決めますね♪」

 意外にあっさりと決まったなぁ。

 女の人って買い物すごく長いって聞いたけど。

「あとは良い?」

 僕は桜井さんにそう聞く。

 さすがにワンピース一着ってのも可哀想だし。

 僕のお人好しって…、罪だよなぁ。

「それじゃあえ~っと…」

 僕のTシャツの中で桜井さんはキョロキョロと店内を見回す。

 周りの目なんて気にしない。

「じゃああのTシャツで」

 僕は再び桜井さんの目線の先目を向ける。

 そこには何ともシンプルな淡いブルーのTシャツがあった。

 てかこれ…でかくない?

「ゆるく着たいんですよ」

「なるほど」

 意外に大きい胸を隠すため…なのかな?

「え!?大きい胸!?そ、そんな褒めたって何も出ませんよ!?あ、Tシャツから出れますけど」

 それボケたの?

 ん~、イマイチ!!

「あははー」

 僕完全に愛想笑い。

「じゃあこの二着で良い?」

「ん~」

 桜井さんは暫く店内をを眺めて。

「はい、よろしいです」

 笑顔で言った。


 僕は桜井さんが選んだ服をレジに持って行った。

 ちょっと恥ずかしい。

 男が一人で女物の服を買うと言うこの状況がちょっと恥ずかしい。

 店員もきっとこう思ってるだろう。

『強靭な精神力!!』と。

 そんなことを勝手に想像してると店員が僕に金額を告げた。

「二万九千円になりま~す」

 …。

 高くね?

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