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第16話 海に行きますぅ【に】

卑猥な描写はあります。

苦手な方は申し訳ありません。

ちょっとした遊び心です(笑)

 きゃはっ。


 どうもぉー。

『体は男、中身は女、その名も』

 桜井奈緒ですっ♪

 今回はあたしが祐介さんの体に乗り移ってるので、あたし視点でお送りしたいと思いますぅー。

 …あぁ。

 …あぁああ!!!

 今、あたし、祐介さんと一つになってる…。

 何でしょうかこの心が満たされる感覚は…。

 はぁんっ。

 気持ちイイ……。

 …ダ、ダメ…ですぅ…。

 ゆ、祐介さぁあん…、あたし…、もう…ダメですぅ…。

 この体を流れる一つひとつの感覚がぁ…。

 何とも言えぬ…幸福感を与えてくれるんです…。

 んっ!!

 そ、そんなに…、激しくされたらあたし……。

 クラクラしてぇ…、倒れちゃいますぅ…。

 あ、あぁああ!!

 も、もうダメですぅ…!!

 祐介さん!!あたしもうイッちゃいそうですよぉー!!

 が、我慢できないですよぉー!!!

 イッちゃうイッちゃうイッちゃうイッちゃうイッちゃうイッちゃうぅーーーーー!!!!


「ぬぃんぐぅえんすわぁいいいこぉおおおお!!!(人間最高)」


《上記の卑猥な描写及び誤解を招く記述をして誠に申し訳ありません。これは、僕の肉体を介し、久々に人間の血や、肉や、骨などをその身で感じた桜井さんの、高揚する感情をそのまま表現したものです。ちなみに“イッちゃう”と言う言葉。正しくは“言っちゃう”で、その高揚する感情を自分の心に留めることが出来なくなり、思わず口してしまったことによる発言なので、誤解なさらぬようお願い致します》


 あら、この声は祐介さんですねっ。


《もう桜井さん、久々の人間の体に感動したからって変な言い方しないでよ》


「だってー、感動したんですもぉーん」

 だって、だってっ。

 歩けば砂のつぶつぶ感が足に伝わる…。

 海を触れば海水の冷たさを感じる…。

 コケたら痛覚が刺激され、身体中に痛みが広がる…。

「こんなに素晴らしいことをまた体験出来て感動せずにはいられませんよ!!」


《いや、だから言い方の問題》



 と言うことで、あたしは人間になってまぁーす。

 祐介の体ですけど。


《桜井さん》


「何でしょうか?」

 うおっ、今更ですけど祐介さんの声ですっ。

「あー、あー」


《桜井さん?》


「海賊王に、俺はなる!!」

 きゃーっ!!

 このセリフ言ってみたかったですぅー!!

 やったですっ!!


《桜井さん!!》


「ひゃっ」

 あわわ、祐介さんの存在意義を忘れてましたっ。


《意義を忘れるな!!》


「すいません、わざとです」


《…まぁ、良いや》


 良いんですか!?


《今、桜井さんは僕になっている。と言うことは桜井さんは“僕を演じないとダメだからね”》


「はい」


《だから『あたし』とか『~ですぅ』とか『きゃはっ』とか言っちゃダメ》


「“あたし”はそんな言い方のしない“ですぅ~”」


《言ってるそばからあと一つでコンプリートです》


「“きゃはっ”」


《フルコンおめでとう》


「ありがとうございますっ」


《…て、これじゃあ話が進まない》


 あわわ、祐介さんが困っちゃいましたぁー。

「ごめんなさいぃー」


 その後、あたしはしばらく祐介さんの特訓を受けました。



「すごいだろー、これが特訓の成果だぜぃ!」


《成果あったの…?》




「おい、遅いぞ祐介!!どんだけでっけぇのしてたんだ!?」

 だれ?


《あれは亮平だよ》


 あ、そうそう。

 亮平さんは待ちくたびれた様子で、あたしたちを見ては溜め息を吐いてました。

 と言うか。

“でっけぇの”ってどうなんでしょうか。

 デリカシーに欠けますっ。


《僕の姿だから仕方ないよ》


 そうですね。

 よーし。

「ごめんごめん、思いの外でかくて写メ撮ってブログにUPしてたら遅れたよ」


《ちょっと桜井さん!?》


「マジかよ!?俺の他にそんなことしてる奴いたのか!!」

 バカですこの人。


《バカは桜井さんだよ》


「汚いからお前。何でそんなことしてんのよ」

 怜さんがまるで汚いものを見るような目で亮平さんを見ていました。

「さすが歩く公然わいせつ陳列罪」

 司さんもバカにしてました。

 …しかし“歩く公然わいせつ陳列罪”ってすごいですね!!

 犯罪が歩いてるんですよ!?

 興奮します!!

 フンスッ!!

「さて、どうする?」

 司さんの言葉にみんな唸り声をあげました。

「ナンパするには情報が足りないしな」

 ひゃっ、ナンパですか!?

 あたしはついつい亮平さんの言葉に驚いてしまいました。

「いや、ナンパしに来てないから」

 ですよねぇ~。

 さすが怜さん。

 あたしがいるのにナンパは失礼ですよね。

 てか早く海入りたいですぅー!!


《怜は果たしてそれを見越して言ったのかな?》


「祐介何するー?」

 司さんがあたしにそう聞いてきました。

 そんなもん決まってるですっ!!

「海に入りたいですぅー!!」

 あたしは両手を高らかにあげてそう言いました。


《桜井さん!!》


「あ」

 やべぇーです。

「“ですぅー”?」

「ちょ、ちょっと待って!!祐介が“ですぅー”だってよ!!ギャーッハハハハハ!!!祐介キモいですぅー、ギャハハハハハー!!」


《亮平ぇぇええええ!!!この野郎ぉぉおお!!》


「亮平、僕は『海に入りたい。で、吸う』と言ったんだよ」

 あたしは親指を立てて力強く言い放ちました。

 亮平さんの目を逸らすことなくジッと見つめて。

 あたしは“ですぅー”なんて言ってないと主張するように。


《海で何を吸うのさ》


「奈緒ちゃん、それは…苦しいぞ」

 怜さんが頭を抱えて小さく呟きました。

「あ、そうだったんだ。ごめん」

 この人アホです。

「アホだ」

「アホだな」


《アホだね》


「それじゃあとりあえず海入ろうぜー」

 そう言って亮平さんは一人海に向かって走り出しました。

「よっしゃー」

「待てよー」

 それに続いて怜さんと司さんも走っていきました。

「よーし、今日は思いっきり遊びますよぉー」

 あたしも三人の背中を追うように走り出しましたっ。


《今日はいっぱい楽しんでね桜井さん》


 はいっ♪



 それからあたしたち四人は、まるで子供のようにはしゃいでいました。


――――――


「ブレェエエンバァスタァアアアー!!」

「ちょ、やめろって怜っ!!がばっ、ごぼぼっ」

「あっはっはー。亮平ドンマイ」

「きゃーっ!!怜さん、それあたしにもやってくださいですぅー!!」

「ゆ、祐介!?」


《桜井さん言葉遣いが…》


じゃなくてです。

「おい怜、それ俺にもやれやぁー!!」

「ゆ、祐介!?どうしたんだ!?」


《僕そんなキャラじゃないよ!!》


「よぉーし、来い祐介!!」

「上等だオラァァー!!」


《桜井さぁーん!!》


――――――


「祐介!!かき氷食おうぜ!!」

 かき氷!?

 きゃーっ!!

 食べたいですぅー!!

「よかろう、ではどちらが早くかき氷売場まで着けるか勝負ですぞ亮平殿!!」

「殿!?」


《僕はそんな将軍みたいな喋り方しなーい!!》


「では、敗者は勝者にかき氷をご馳走すると言うのは如何か祐介殿!!」

「亮平まで!?」

「よかろう!!では勝負でござる!!」

 そう言ってあたしと亮平さんは走り出しましたっ!!

「もうお前らやっとけ…。怜、俺らもかき氷食おうぜ」


――――――


「やっぱ海に来たら砂に埋めないとな」

 亮平さんが砂に埋められてますねー。

「いっつも俺だよな。こういうの」

「チビだからな、お前」

「うるせーよ司。祐介だってチビだろうが」


《亮平よりは高いぞ僕は》


「ちっちゃかったら埋めるの!?だったら埋めてください!!」

「おっ、良いぞ祐介」

 やったですぅー!!

「待て怜、まだこいつの頭を埋めてない」

「生き埋めかよ!?」

「じゃあさっさと亮平さん埋めましょー!!そんで早くあたしを埋めてくださいですぅー!!」

「良く言った祐介」

「祐介まで!?」


《何か言葉遣いに対してスルーされてる…》


――――――



「はぁ、疲れたなー」

「だな」

 あたしたちは浜辺で海を見ながら黄昏(たそがれ)ていました。

 気が付けば夕方です。

 オレンジ色の空に沈んでいく太陽。そしてその太陽の光が海に反射して輝いていました。

 まるで、キラキラ光る海の上に太くて長い光の道があるように。

 そんな幻想的でとても綺麗なその景色をずっと見ていたくなります。

 波に揺れて、時折ぼやけつつも、決して消えることのない光の道。

 この光の道しるべに沿って行ったら何があるんでしょうか。

 きっと、まだあたしの見たことのない世界が広がっているんでしょうね。

 見てみたいですね…。

 その世界を…。


「どうする?帰るか?」

 怜さんはゴロンと寝転んであたしたちに言いました。

「そうだなー。はしゃぎすぎて疲れた」

 亮平さんも同じようにゴロンと寝転びました。

「亮平、結局ナンパは成功しなかったな」

 寝転んだ亮平さんを見下ろしながら司さんは言いました。

 バカにしたように笑ってます。

「うるせぇ」

「あははっ、今日は本当楽しかったねー。良い思い出が出来たよ」

 あたしもゴロンと寝転びますー。

「何言ってんだよ、夏はまだまだこれからだぜ祐介」

「あいたっ」

 うぅー。

 亮平さんに叩かれましたぁー。


《桜井さん大丈夫?》


 大丈夫ですっ♪

「まだまだやりたいことが山ほどある!!せっかくの夏休みだ、思う存分遊ばないともったいねぇべ」

「そうだなー、海だけじゃ足りねぇよな。あ、俺キャンプしてぇ」

「お、良いねー」

「お前ら、夏祭り忘れんな。ナンパし放題だぞ」

「お前は成功しねぇだろうが」

「うるせぇよバカ司」

 ぷっ。

「あはははっ」

 あたしは思わず笑ってしまいました。

「お、ウケた」

「祐介ぇー、笑うなよー」

 人間てやっぱり良いですね。

「じゃあ次はキャンプしよう。僕もキャンプしたい」

 と言うより。

 もっと皆さんと楽しい時間を過ごしたい。

 もっと皆さんと遊んでみたい。

 ねぇ祐介さん。


《何?桜井さん》


 幽霊のくせにそう思うあたしはおこがましいでしょうか?


《全然。僕は良いと思うよ》


 そうですか。

 ありがとうございます。


「よーし、じゃあ次はキャンプだ!!」

「楽しみだな」

「俺そう言うの超大好き。だから楽しみですぅー、ギャーハハハハハ!!!」

 むぅ。

 えいっ。

「ぎゃああああああ!!!」

「今日の祐介はなかなかGJだな」

「俺もやろー。オラァァア!!」

「うぎゃああああああああああ!!!お、お前ら背中叩くな!!日焼けしてんだからー!!」

 あっはっはー。

 楽しいですぅー♪

「じゃあそろそろ帰るか」

「そうだな」

「帰るべ!!」

 ぺちん。

「ぎゃああああああ!!!祐介この野郎ぉー!!返事変わりに背中叩くなぁー!!」



 視点は桜井さんから僕に変わりますよ。

 あの後、僕は着替える前に桜井さんと入れ替わり、何食わぬ顔で着替えを済ませた。

 電車の中で亮平が、

『また撮ってたんだろ。今度ブログ見せろよ』

 と言ってきたので、持ってたバッグで背中を思いっきりぶん殴ってやった。

 その痛みに悶える亮平の顔が破壊的に面白かったので泣きながら(爆笑して)写メに撮った。

 僕、ブログはやってないけどmixiはやってるので今度UPしたいと思います。

 良かったら皆さん見に来てください。

 そして電車内でマナーもへったくれもない行動をとってしまってごめんなさい。

 そうしてる内に僕らの集合した駅に着いたので、駅前で三人と別れ、今に至ります。


「桜井さん、今日は楽しかった?」

 僕は隣でフワフワ浮いてる桜井さんに向かってそう言った。

「はいっ!!今日は本当に楽しくてすごい良い一日でしたっ!!」

 僕と入れ替わってからずっとニコニコしている桜井さん。

 よっぽど楽しかったんだな。

 本当、入れ替わって良かったな。

「大丈夫?疲れてない?」

「大丈夫ですよぉー♪」

 そう言いながら桜井さんは鼻歌を歌いながら変な踊りを踊っている。

 何その踊り。

「祐介さんも大丈夫ですか?」

 桜井さんは踊りを止め、フワフワと僕の前に移動した。

「幽霊が乗り移ると言うのは、乗り移られた人にとって精神的にすごい負担がかかるんです。それにあたしもはしゃいでましたし…。祐介さんの身体には精神的負担と肉体的負担の両方の負担がかかってる状態なんですよ。だから心配ですぅ…」

 さっきまでニコニコしてたのに?

 ずいぶん急激に態度変わったね。

 でもありがとう。

 心配してくれて。

「僕は大丈夫だよ。確かにちょっと疲労感はあるけど、嬉しそうな桜井さん見てたら嫌でも元気出てくるからね。だから心配しないで」

 ぽんぽんと桜井さんの頭を軽く叩きながら僕は言った。

「ひゃっ、あ…、はい」

 桜井さんは頭を両手で触りながら上目遣いで僕を見る。

 ちょっと照れているようだった。

 そして僕の隣に戻り、

「お腹空きましたねっ♪」

 と笑顔で言った。

「今日はまたオムライスでも食べようか」

「やったですぅー!!」

 そう言いながら桜井さんは右手をあげて喜んでいました。

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