第47話 再びゴラク塔へ
天馬に乗って王都に向かう。外はもう日が暗くなっているが、12時までのタイムリミットまではかなり時間がある。
王子様はゴラク塔に幽閉されている。多分、リュバンもそこへ助けに行ったのだろう。だからまずはゴラク塔に行って王子様を救出することにした。もしかしてそこでリュバンの消息が分かるかもしれない。
本来なら塔の様子がわかった方がいいのだが、今はそれを調べる手がない。
(スピリットがいてくれたら・・・)
スピリットケガでしばらく動けない。もしいてくれたら何かと都合がよかったのだが、今はそんなことを言っておられない。とにかくゴラク塔に行くしかない。
ゴラク塔は以前来たことがあるから中の様子はわかっている。多分、王子様は最上階に監禁されているはずだ。そこに行くには塔の中の階段をひたすら上るしかないのだが・・・。
天馬でやすやすと塀を越えるとゴラク塔は目の前だ。塔の周りには警備の兵がびっしり並んでいる。
「侵入者だ!」
兵士たちが束になって私に向かってくる。だがそんなのは物の数ではない。すぐに天馬を降りて剣を抜いて振り回していく。スピードが違うから私の剣は面白いように兵士をとらえる。それで兵士たちは次々に気絶していった。ここまでは順調だ。だが中はもっと警備が厳重なはずだ。気を引き締めて入り口から入って行く。
中は燈火が少しだけで薄暗い。その中で兵士たちが息を殺して待ち構えている。だがその気配を肌で感じることができる。私が前に進むたびに兵士たちが剣を抜いて飛び出してきた。
「バサ! バサ! バサ!」
私は斬られる前にすべて剣で突いていく。兵士たちは次々に気を失って倒れ、辺りはしんとなった。
(すべて倒した・・・いや、違う!)
まだ殺気が辺りに充満していた。圧迫するようなこの気配が感じられる。これは・・・
「おまえだったのか! 生きていたのだな。相変わらず見事な腕だ」
少し離れたところにジョーカーが待ち受けていたのだ。やはりこの男が私の前に立ちはだかる。これで3回目だ。前回は不覚を取った。だが今回は絶対に負けない・・・。
ジョーカーはゆっくり歩いて近づいてきた。その物腰に一分の隙もない。
「あれでは助かったとはな。殺し損ねたようだ。運のよい奴だ!」
「あれしきのことで私は死なない!」
「ふふふ。おまえが生きていて俺はうれしいぞ! おまえをまた剣で斬れるのだからな!」
「今度は前のようにいかない! ここを通してもらうわ!」
「それは俺を倒してからだ!」
ジョーカーがさっと剣を抜いて駆け寄ってきた。右手の紅い剣が薄暗い空間に鈍く光る。彼は剣を頭上まで振り上げると、力いっぱいに私の頭に向けて振り下ろした。
「カキーン」
鋭い金属音が響き渡る。私はなんとかその一撃を剣で受け止めた。
続いてジョーカーは連続して斬りつけてくる。だがその剣筋は見えている。その隙をついて私は剣で反撃に転じた。戦っているうちに私は強くなっているのだ。
「おのれ! こしゃくな!」
ジョーカーはがむしゃらになって攻撃してくる。以前のような余裕はない。力みまで見られる。こうなれば私に分がある。
私は後方宙がえりを打ちながらジョーカーの剣を避けた。するとムキになって突っ込んでくる。そこで懐に入り、剣で突いた。
「うう・・・」
ジョーカーは無念の表情を浮かべながらその場に倒れた。ついに私はジョーカーに勝つことができたのだ。
「ふうっ・・・」
私は額の汗をぬぐった。だが勝利に浸っている余裕はない。この塔の最上階にいる王子様を助けねばならない。
ジョーカーを倒せばもう大きな障害はないだろう。あとはこの長い階段を上るだけ・・・。だが時間をかけていられない。この前のように時間切れになったらおしまいだ。
私は剣をムチモードに変更した。すると刃の部分がしなやかな長いムチになる。
「ムチよ! 伸びよ!」
私は叫びながらムチを上方に振り上げた。するとムチは伸びていき、最上階近くの階段の手すりに絡みついた。
「ムチよ! 縮め!」
するとムチは縮んでいく。私はムチを右手でしっかり握り、そのまま引き上げられていった。これで苦労することなく上ることができた。
「あとはこの鉄の扉だけ」
私の前には前は破れなかった鉄の扉がある。だが今度は破れるはずだ。
「王子様! 聞こえますか? シンデレラです! 助けに来ました!」
すると声が聞こえた。
「シンデレラか! 私だ! スピカだ!」
声が聞こえた。確かに王子様だ。
「この鉄の扉を破ります。離れていてください!」
私は剣のモードを最大破壊にした。すると厚くて大きな刃に代わり、持ち手が太く長くなった。これを大きく振り上げて反動をつけて振り下ろす。
「バーン!」
ものすごい破壊力だ。鉄の扉が吹っ飛んだ。もうもうと土煙が上がる。それを越えて部屋の中に入った。
「シンデレラ! 来てくれたのか!」
王子様が駆け寄ろうとした時、その床に急に魔法陣が現れた。複雑な模様で明るい光を放っている。
(一体、何?)
するとその魔法陣から一人の男が現れた。それは・・・。




