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第19話 ソワレの料理

 素晴らしい卵の使い道について・・・それをソワレに相談した。彼はとっておきのアイデアを出してくれた。


「・・・というのはどうでしょう?」

「いいと思うわ。でもできるの」

「大丈夫です。村の人も手伝ってくれると」

「それなら進めて」


 私はソワレの提案を受け入れた。これでまたここが素晴らしいところになると・・・。



 元々、ソワレは台所の下働きで屋敷に雇われた。それが料理長に気に入られて彼はコックや召使たち使用人のまかないの食事を作るようになった。それが使用人の間で評判になっていた。それは私も小耳にはさんでいた。するとある時


「最近、食事がおいしいのです。ソワレというコック見習の方が作っているんですけど、いつもおいしくて・・・」


 そのことをララが教えてくれた。私は興味を持った。我が家は一流コックたちが高級料理を作ってくれる。だが私はそれに飽きていた。はっきりいえば私の口に合わなくなっていた。


「へえ? そうなの」

「お嬢様たちが召し上がる高級な料理ではありません。でも私たちが家で食べる料理でもないのです。変わった感じの・・・」


 ララが説明してくれるがよくわからない。そこでこっそりソワレの料理を取り寄せて食べてみることにした。

 ララが届けてくれた料理は確かに見たこともなかった。丸い肉色の塊にソースがかかっている。肉料理だと思うが、いつも出てくるステーキではない。


「これは何?」

「ハンバーグというものです。なんでも肉のこま切れをミンチにして作ったと聞きました。おいしいですよ」


 私は少し切って口に運んだ。それで衝撃を受けた。


「おいしい!」


 口の中に肉汁が広がった。上等なステーキでもこんなことはないだろう。


「これはすごいわ。ソワレというコックはいつもこんなものを作っているの?」

「はい。ソワレさんがまかない料理を作るようになって食事が楽しみになって・・・」


 ララはそう教えてくれた。私は俄然興味がわいて来て、身を乗り出して尋ねた。


「他にはどんなものが?」

「肉にパン粉をつけたフライとか・・・外がパリッとして中がジューシーで・・・」


 ララの説明で私はよだれが出そうになった。フライというのは聞いているだけでうまそうだ。


「よくわかったわ。ソワレの料理が素晴らしいことを。私の食事に出してもらうようにするわ」


 私は部屋に戻ってそれをリュバンに相談した。彼女が主に私の食事を取り仕切っているからだ。


「ハンバーグというものを食べたけど、ソワレというコックの料理はおいしかった。私の食事はソワレに作らせて」


 だがリュバンは首を横に振った。


「いけません。お嬢さんがそんなものを」

「どうして? リュバンもまかない料理を食べているでしょう。おいしかったはずよ」

「お屋敷の上等な肉から作ったのだから当然でしょう。お嬢様。料理長の料理の方が断然上等ですよ」


 リュバンはそう言う。だが私はあきらめきれない。


「少しの間だけだから。どうせソワレがみんなのまかない料理を作るんでしょ。一人分くらい増えてもいいでしょ」


 私は何度もリュバンに頼んでみた。すると仕方がないと思ったのか、それを許してくれた。


「お嬢様。少しの間ですよ。それも一人で食事されるときだけ。旦那様や奥様、お兄様方と食事をされるときはいつもの食事を召し上がっていただきますから。いいですね」


 リュバンはそう念押しした。それで私はソワレの料理を食べることができた。

 確かにソワレの料理は私が食べてきた料理とは違った。何か悪魔的に引き付ける力がある。3食ともまかない料理でいいと思ったのだが、食事は家族と食べることが多いからソワレの料理は思った程食べられない。


(なんとかソワレの料理をもっと食べられる方法はないかな・・・)


 そこでソワレを私専属の料理人にした。そして家族と食事の時はソワレの料理も大皿料理として出してもらうことにした。これでいつもソワレの料理が食べられる。

 私は満足だったが、父もマーガレットも、ブルーメやレーヴもソワレの料理はあまり気に入らないようだった。


「なんだ? これは?」

「変わった料理ですこと。私にはあまり・・・」

「下品な味だ」

「おかしな料理だな。もっとまともなものが作れないのか」


 さんざんな言われようだった。そんな風に酷評されたのだが、私の推しでソワレはコック4番目の地位になった。高級料理は作れないが一風変わった料理が私の口のよく合う。彼はみんなのまかない料理を続けながら私においしい料理を出してくれた。



 ソワレは我が家が没落したときに牧場について来てくれた。貴族の家では務まらないかもしれないが、王都の料理屋ではコックとして腕を振るえるのに・・・。

 彼は言う。


「俺は俺の料理を喜んでくれる人のために作りたいんだ。それはお嬢様だ」


 私はそれに甘えて彼をここに連れてきた。だが料理を作るどころか、牧場の下働きのような仕事ばかりさせていた。


(牧場の方は私とララでなんとかなりそうだ。ソワレには別のことを・・・)


 私は彼がその腕を振るえるようにできないかを考えてきた。そこに彼が提案してきたのだ


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