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第1章 第2話 追い込まれた人類

「待て待て!俺達も何が何だか分からないんだよ!突然青い光に飲み込まれて、気づいたらここにいたんだよ!」


「青い光?お前、名前は?」


「オ、オリバー・ラストロフ。」


「お前は日本人ってやつか?」


「そうだよ。父さんがアメリカ人で名前がそっちだけど母さんは日本人さ。」


何かに驚いた男は両刃斧を下げた。


「お前か....救世主だ、救世主が来たぞー!」


周りにいた人達は、涙を流すものもいれば、飛び跳ねて喜ぶ者もいた。


「どういうことだ?」


「なぜ2人なんだ?もっといるんじゃないのか?」


「たしかに...みんなどこへ行ったんだ?」


いるのはエリカだけだ。なぜ2人だけなのか。


「オリバー、そっちのお嬢さん、突然驚かせてすまなかった。俺は『ドン』、この町を守っている。」


「あのさ!ここは何?なんで俺らはここにいるんだ?」


「混乱してるだろうが落ち着いて聞いてくれ。おそらく、君たちのいた世界とここは全く違う。」


何言ってんだこのおっさん?エリカもおそらく同じことを思っているだろう。


「君たちがこの世界に来たのは意味がある。この世界を救ってくれ。」


オリバーとエリカは話が全く見えなかった。


イムジが目を開けるとなぜか全く知らない場所に居た。


「どうなってる?」


ビルが倒壊し、ツタや草や木が倒れたビルや瓦礫の中から生えている。

おそらく都会だったのだろう。ビルや瓦礫からそう推測した。しかし栄えていた面影が全く見えない。


「なんだ!?」


突然、巨大な咆哮にイムジは構えた。まるで恐竜のような声だ。

声が近づく。足音が全方向から聞こえる。おそらくこちらに向かっているのだろう。

イムジはバイクのエンジンをかけた。バイクのヘッドライトが前方を照らす。


「うわ!」


照らされた先には人型の怪物だった。スキンヘッドで赤い目をしている。人を簡単に殺せそうな長く、鋭利な爪を持ち、肌は全身青白かった。

人型だが人とは似ても似つかない怪物に、イムジは固まってしまった。おそらく周りはこいつらだらけだろう。


「クソ!」


暗く見えなくとも、全方向の怪物がこちらに向かって走り始めたことがわかる。地面の振動からその数の多さがわかる。


「うわー!」


爆発音のような音とともに、怪物が次々に吹き飛ばされる。

イムジはバイクに跨ったまま、頭を低くする。


「そのまま頭を下げとけ。」


だいぶ歳をとった声をしている。

怪物の断末魔と叫び声が聞こえる。


「進め!」


発進に戸惑いながらも前に進んだ。

目の前の怪物は右腕を引き、爪で切り裂くため構えていた。


「止まるな!」


この声に反射的にスピードを上げた。


「ぐっあああああ!」


半分やけくそだった。しかし、怪物の横からとてつもない速さで何かが怪物を吹き飛ばした。

そのまま真っ直ぐ進み続けた。


「こっちー!」


女の子の声がした。スピードを緩め、クラッチを握りしめた。右方向からまた声がした。ギアを落とし、右へ車体を向けると、瓦礫の間から女の子が手を振っていた。


「急いで!」


イムジはスピードを上げた。女の子の前にバイクをつけ、瓦礫の間を潜り女の子を追った。


着いた先は地下鉄だった。


「大変じゃったの。」


自分が歩いてきた道から声がして振り向くと、そこには腰が曲がり、白い髭を蓄えたおじいさんが現れた。


「わしらはヤツらを『ヴォルガーディ』と呼んじょる。お前さん名前は?」


「イムジ...」


「ワシは『水条 文』、みんなじいちゃんとか色んな呼び方しとる。その子は付き人みたいなもんで『水条 マナリ』って言う。強いから手出さんようにな。」


「ヴォルガーディはね、人間の成れの果てだよ。人のカラを破って上の存在になろうとした人達が繁殖して増えてるの。」


電車の屋根に上り、足をパタつかせながらマナリは説明した。

マナリの説明でさらに分かったことは、ある6体の怪物が突如現れ、3週間で日本をこうしたらしい。


「ずっと気になってたんだが、文さんのその刀って...」


「ほぉ、イムジこれが普通の刀じゃないことがわかるのか?」


「うん、なんて言うか雰囲気が違う。」


文は髭をさすり何か考え事をしていた。

腰にたずさえた刀を取り、イムジに見せるように持った。


「これはな『ゴッドオブジェクト』と言われる異物じゃ。他の国では『神殺しの武器』なんて呼ばれているらしい。」


「へ〜、何がどう違うんだ?」


「言うより実践で見た方が早い、着いてこい。」


文の後を追って階段を上がる。腰の曲がった年寄りがあの数を相手にして、バイクよりも早く動いていたことが気になる。


地上に出たイムジは、文の後ろに立った。

文は刀を少し抜き、力強く収めた。カキーンという音が周囲に響いた。


「き、来た...」


雲に隠れていた月が顔を出し、月明かりが2人の周りを照らした。

既に15体はいるだろう。囲まれた。

文は体勢を低くし、左手で持った鞘を腰の位置に持ってきた。右手で柄を握った。


正面にいた怪物はイムジが反応できない速度で文に向かって行った。

居合術、文の動きはイムジには全く見えなかった。


「すげー...」


怪物は遅れて切られたことに気づいたように、体が3等分された。

他の怪物が騒ぎ始めた。


「見ちょれ、この武器の性能見せてやろう。」


一斉にかかってきた怪物。文を狙っている。


(カルマ)


文は刀で指を切った。牙が生え、目が黄色に変わった。突然、一体の怪物が隣にいた味方を攻撃し始めた。次々に怪物達が味方と殺し合いを始める。


「どうなってるんだ?」


怪物たちの動きが止まった。怪物が後ろ向きのまま走って下がる。まるで巻き戻しをしているようだ。


文は刀を振り上げ、軽く振り下ろした。現れた時の位置まで戻った怪物達が、次々に地面に押しつぶされた。


「え?ど、どうなってんだよ...」


「こんな感じじゃ。」


「わかるか!」


イムジのツッコミがこだました。

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