第16話[人質]
違法研究所(敵のアジト)。
「ご苦労さん」
ボスを連れてきた男は、男達が怖かったのか、怯えだして逃げていった。
「ぎゃあぁぁぁ!」
牢の暗い場所でボスは手首を硬い手錠で繋がれていた。
「マネルンの命令だ。
お前にはあいつらを脅すための人質になってもらう」
男達はボスの姿を見て笑った。
「ボスだかなんだか知らないが所詮は女だ。
俺達に簡単に捕まったんだからな」
男がボスの顔を見ると、ボスは笑っていた。
「バカにしてんのか⁉」
男はボスの表情にキレて、バキッとボスの顔面を殴った。
「やめろよ。一応こいつも「女」だぜ。
・・・お前も強がりだな〜」
もう一人の男は男を止めるとボスの方を見て、胸元にチラッと視線をやった。
男はボスの顎を片手で上げた。
「なぁ、俺と遊ばないか?」
ボスは笑顔のまま「そうか、ならば相手をしてもらおうか」と言った。
男は期待すると、ガキンという音がした。
男は驚いて手錠の方へ視線をやると。
ボスは手首に力を入れただけで硬い手錠を壊してみせた。
間近で見た男は腰を抜かして、
ガンッガンッ。ジャララ。
最後に悲鳴を上げた。
「ぎゃああああああああ‼」
ボスは牢の鉄格子を壊し、鉄格子の外にいた男達に殴りかかった。
鉄格子の中も外も、敵は全員倒れていた。
「・・・ふむ、あまり手応えは無かったな」
「・・・さて、生徒達の様子でも見に行くか・・・」ボスは自分の手首に触れ、コツ・・・コツ・・・と、どこかへ歩いていった。
俺達はボスを助けに伝言を聞き、敵のアジトへ向かった。
違法研究所(敵のアジト)。
行くとマネルンが、そこにいた。
「さっきも負けたが、今度こそお前らをぶっ潰す」
マネルンは、「フォルムチェンジ!」と叫ぶと、見たことのない魔装武器を出してきた。
マネルンの見た目とは裏腹に、拳にでかい棘のついたグローブが現れた。
俺達は驚いた。
魔装武器は、それぞれ個々の情報を能力として再現するもの。
マネルンは、それをコピーできる能力。
「・・・一体誰の能力なんだ?」
魔装武器を表示できるのは限られた人、俺達や、敵だけ。
「その能力はお前らの仲間のものか?」
俺の質問にマネルンは笑って答えた。
「ざんね~ん」
マネルンは俺達に襲いかかってきた。
マネルンは俺達を殴ろうとすると、俺達は攻撃をかわした。
殴られた箇所は、一気に壊れすごい破壊力だった。
「これが、会社員の能力だ」
「フォルムチェンジ!」
マネルンは、新たに魔装武器を出した。
傘だった。
マネルンは、傘の取手を引き、離すと、上へ向かって針のようなものが数十本ほど飛び出し、適当な箇所に落ちた。
俺は、上にシールドを張っていた。
他の者たちは、避けるか、弾くか、障害物を盾にしていた。
「これが、天気予報士の能力だ」
俺はマリオネットのときみたく、マネルンにバリアをはろうとした。
マネルンは、バリアがはられる前に、その場を離れた。
「フォルムチェンジ!」
マネルンが片手を上げた瞬間、急に花びらが数十枚現れた。
花びらが鋭利な刃物になって俺達に襲いかかった。
「そして・・・これが俺の気に入っている女の子。
美咲ちゃんの能力だ!」
と思いきや、セキに向かって花びらが集中的に飛んできた。
セキは花びらを弾くか、避けるかした。
俺はマネルンにバリアをはろうとした。
「おーとぉお!
危ない危ない・・・♪」
マネルンは難なく避けた。
「・・・・・・なんか、相手怒ってないか?」
俺達はマネルンの怒りをうすうすと感じていた。
集中して飛んできた花びらがついにセキにあたってしまった。
(まずい‼)
俺は顔が青ざめた。
マネルンはセキの血を見た。
マネルンは叫んだ。
「フォルムチェンジ!」