第15話[旅館]
「マリオネットに後で聞きたいことがある。
とりあえず、拘置所にでもやるか」
「・・・みんなお手柄だ。今日はもう日が沈む。
旅館でゆっくりしてから、次の仕事に励め。
今日の報酬だ」
ボスは俺達に報酬金を渡してきた。
前のときと変わらず金額が安かった。
「私はあとから行く。みんな先に行っててくれ。
旅館の場所は・・・このあたりには一軒しかないな・・・。まぁ見たら、一軒だけ雰囲気が違う。
行って見たらわかる」
俺達は言われた通り旅館へ向かった。
(行ってみたらわかるって・・・。
さすがにわからないだろ・・・!)
と思ったけど、実際に行ってみたら一軒だけ雰囲気が違っていた。
他のところは綺麗な建物が建っているが、一箇所だけ離れたところに行ってみると、旅館が建っていた。
旅館はだいぶ古びていた。
俺達は旅館に入ると、みんな物珍しそうに部屋の中をキョロキョロ見ていた。
コウは浮かれて廊下を歩いていた。
「初めてきた。
スゲ〜雰囲気出てる。なんかワクワクしてきたかも」
俺も浮かれていた。
「確かに、なんか宝とかありそうだよな」
コウは頷いた。
「ああ、まるでゲームの世界に入ったみたいだよな」
ベニとセキは、夕食を楽しみにしていた。
「・・・ここでは、どんな料理にありつけるかな・・・?」
「腹さえ満たせりゃあなんでもいいだろ」
ツバキは結局ボスに許された。
「・・・・・・」
アサはツバキに話しかけた。
「――・・・おじちゃん、楽しみだね〜」
ツバキは黙っていた。
「・・・・・・」
ヨルは、ツバキに対し、機嫌を悪くした。
「ちょっとツバキ!聞いてる?」
ツバキはアサの存在に気づき、謝った。
「ごめん、聞いてなかった」
アサは笑った。
「大丈夫だよ〜。
今日のご飯、楽しみだね〜♪
ふふっ、ベニちゃんったら、珍しく浮かれてたんだよ〜」
ヨルは、ベニに同意した。
「そうだね、私も楽しみだわ」
アサはヨルを見て嬉しそうにしていた。
「ふふっ、ヨルってば食いしん坊なんだから」
俺達は、運ばれてきた夕食を食べた。
セキとベニとヨルは夕食にがっついていた。
俺とコウとツバキは三人の食欲に圧倒されていた。
アサは三人を微笑んで見ていた。
あとから来たボスは、旅館の温泉に、タオルを巻いて入っていた。
「・・・いい湯だな」
(疲れも取れる、やっぱり旅館と言ったら温泉だな)
(・・・・・・・・・)
(・・・・・・・・・)
「・・・五、六人といったところか・・・・・・」
ボスは、現れた敵の前で立ち上がった。
恥ずかしげもなく巻いていたタオルを脱ぎ、武器にするのか、タオルを持ったまま構えた。
「キャーー⁉」
旅館の人達の悲鳴が聞こえてきた。
俺達は聞こえてきた悲鳴にかけつけると、旅館の人達に聞いた。
「どうしたんですか⁉」
「急に刃物で脅されて、・・・人質を取って、出ていったんです」
旅館の人達は俺達に説明した。
俺は「人質?」と聞いた。
旅館の人達は頷いたあと、人質の特徴を言った。
人質とは、ボスのことだった。
俺達は驚いた。
「・・・嘘だろ?」