第10話[告白]
俺は朝、養護施設から出て、近道として裏道から城へ向かうと、途中でコウを見かけた。
「好きです」
コウは女子に告白されていた。
俺は慌てて物陰に隠れた。
(マジかよ)
場所ということもあって、見てはいけない気がしたから。
俺はコウが何かやらかさないか見張ることにした。
しばらくすると、相手の女子の方は、あり得ない!という表情をしたあとどこかへ走って行った。
(マジか⁉)
(今とんでもないことが起きたんじゃ⁉)
俺は隠れてることを忘れて、物陰から出てきてコウにキレていた。
「お前!
さっきの女子に変なこと言っただろ⁉」
コウは俺の存在に気づくと驚いた。
「うわあぁ⁉」
「わぁ⁉」
コウの反応に俺まで驚いた。
俺は自分が隠れてたことを思い出した。
「アオイ?・・・まさか、
俺がフる瞬間見てた?」
コウの言葉に俺は再び驚いた。
「はぁ⁉」
歩行道路を二人、城へ向かって歩いていた。
「・・・嘘だろ?嘘だよな⁉」
俺はコウを本気で疑っていた。
「本当だよ。
アオイ俺のこと何だと思ってるんだよ?」
俺の反応にコウは苦笑いしながら聞いてきた。
俺は即答した。
「女好き銃士」
「まぁ・・・、そうだよな・・・」
コウは否定しなかった。
コウは、やれやれ・・・、という顔をし、
「アオイ、わかってねぇなぁ・・・」
手のひらを横にやり、首を横に振った。
「女の子は、見物するからいいんだ。
付き合ってしまったら一人しか見れないだろ?」
俺は「ああ、なるほど・・・」と呟き(こいつ、クズだった)と思った。
「驚いて損した・・・」
コウは目を閉じたまま何回も頷いたあと、「だろ?」と言った。
城の広間。
俺は今朝の話をベニにすると、ベニは驚いた。
「・・・え!噓⁉」
コウは「本当だよ」と真面目な表情で言った。
「そっか・・・」
「私きっとまだ目が覚めてないんだ・・・」
ベニは自分の頬をつねった。
「痛い・・・」
俺は、(あっ!そうか・・・!)と思うと、頬をつねった。
痛かった。
コウは溜め息をついて、
「お前ら大袈裟だろ・・・」
「別に相手は本気じゃなかったかもしれないだろ?」と俺とベニに呆れていた。
「うわっ!こいつ最低だ・・・」
コウの発言にベニは軽蔑した目でコウを見ていた。
「・・・誰が最低なんだ?」
ボスは俺達の会話に混ざってきた。
ベニはコウを黙って指さした。
「そうか・・・。
・・・コウ、そのねじ曲がった根性、叩き直してやる。
・・・表へ出ろ」
ボスは親指で扉を差した。
「え?
これまさか、いかないとダメな状況?」
コウは俺を見てきた。
「骨だけは拾ってやる」
コウは自分の置かれた状況を知ると怯えだした。
「ヒイィエェエ‼」