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第8話 学校では…

セリフが多い小説が大好きです

突然、隣の家に住んでいる滝川さんがうちに訪れて、一緒に登校したいと誘ってきた。

断る理由もなく、今は彼女と共に登校中だ。


「私、お友達と登校するの憧れてたんですよね。1人だとどうも寂しくて」


彼女は突然そんなことを言う。

…気持ちは分かる。俺と滝川さんが住んでいる地区は、学校から近いとは言えない。大体の生徒は徒歩で通える場所に住んでいるらしいから、電車で通わないと行けない距離に住んでいる俺たちは他の生徒に全く合わないのだ。

俺も、特別寂しいと感じたことは無いが、どこか静かさを感じたことは何度もある。


突然だけど…昨日の上着、まだ返してもらってないな。


━━━━━━━━━━━━━━━


電車に乗りこみ、学校の最寄り駅へと向かう。

学校側は結構都会になるのだが、俺たちの家の最寄り駅は田舎とは言わないがそれでも電車は少ないため、この時間の電車を逃すと間違いなく遅刻する。

電車はいつもより少し混んでいて、俺たちは立って乗っていた。


「本川さん、これから、ずっと一緒に登校したいです」

「…!?」

「む。何驚いてるんですか。友達を誘ったまでですよ」


ぷくっと小さく頬をふくらませた滝川さん。しかし、きっと俺の反応だって当然のものだろう。美少女に、一緒に登校したいなんて言われたら驚きと喜びと気恥ずかしさで心がボッコボコに砕かれる。

少し冷静になったところで、彼女に問い返す。


「なんで俺が冷静でいられると思ったのさ…滝川さんみたいな子にそんなこと言われたら男なら誰だって動揺するさ」

「私みたいな子って…?」

「え、言わせるのそれ」

「……んふふ、気になります!」


いや、彼女は俺の言葉の意味を絶対わかっているはずだ。その証拠に、とてもニヤニヤしている。まだ見たことのない、いたずらっ子な顔。それも含めて…


「滝川さんみたいな可愛い子ってことだよ」


目を逸らし、恥ずかしがっているのを悟られないように雑に返す。

ちらっと滝川さんを見やると、彼女もまたほんのり顔を赤くしてはにかむ。


「へへ、そうですかそうですか」

「うんうんそうそう………あ、これ言っておきたいんだった」

「ん?なんですか?」


昨日から言おうと心に決めていたことがあった。


「学校では、話しかけないで欲しい」

「………………………ぇ…?」

「あ、いや」


なにか誤解をして、大ショックを受けたような顔をした彼女にすかさず説明を入れる。


「ごめん、言い方が悪かったな。えっと…俺、学校ではあまり目立ちたくないというか…」

「それで、なんで私が話しかけちゃダメなんですか?」

「多分、滝川さんも自分の学校での影響力は理解してくれていると思う。いつも目立ってない俺と、学校で1番人気と言ってもいい滝川さんが、仲良く話してたら…………考えただけで恐ろしいな」

「………私はいいのに」

「いや、俺が気にするんだ…頼む。話しかけるな、なんて友達に頼むような事じゃないと思ってはいるんだが…」

「……………………わかりました。極力話しかけません」

「助かる、本当にありがとう」

「ただ」


彼女は上目遣いで、でも少し強めの目で俺を睨んでくる。


「条件があります」

「…なんなりと」

「登校だけじゃだめです、下校も…その、時間が合えば一緒に帰りたいです」


もうほんとに…なんて可愛いんだこの子は。

さっきの緊張した空気はどこへやら、一転して彼女は耳まで赤くなって俯いてしまった。コロコロ変わる表情に、思わず笑ってしまう。


「な、何がおかしいんですか!!」

「ははっ」

「もう〜っ……ん!」


何を考えているのか、頭を差し出してきた滝川さん。何を意図しているのか分からずに困惑していると、彼女は言った。


「………撫でてください」

「…へ?」

「いいからはやく」


昨日から友達とはいえ、同級生の女子の頭を撫でるのってなにかの犯罪になりそうだ。

それに、昨日初めて声をかけた時はあんなに警戒心が強そうだったのに、今はそんなもの微塵も感じさせない。というか、距離感があまりにもバグりすぎている。


撫でるのは自分が耐えられないし、そもそも今は電車に乗っていて他人の目もある。さすがにはばかられたので、ポンポンと手を置くだけにした。


「ん……へ、もう終わりですか?」

「うぅ…俺の気持ちも察してくれ…」

「でも、友達ならなでなでくらい普通にやるって聞いたことあります」

「それは同性同士だけだと思うな」

「…私の頭撫でるのやですか?」

「………………………………………………嫌じゃない……けど!今電車の中だから」

「…2人きりならいいので?」

「………そんなに撫でてもらいたいのか?」

「へっ」


変な声を出して真っ赤になった滝川さん。俺の発言で、自分が何を言ったのか理解したようだ。


「と、友達だからです!!」

「それにしては距離が近い気もするけどな…」

「…やですか?」

「嫌じゃないっての」

「へへ」


途端に上機嫌になる。

本当に、彼女にはどんな顔も似合う。



それから今日の授業の話や電車から降りてからの話など、雑談に花を咲かせた。


この先揺れるのでご注意ください━━━━━━な展開はまたいつかで…

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