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第4話 共通の話題

「今話から鍵かっこ同士ののスペース無くします!」

「長くなって読みずらいかなと思ったので…」



とりあえず家から駅までの道のりで探してみることにした。現在の時刻は16時。真冬なこともあり、すでに暗くなりかけている。風が吹いて、隣で歩く霞姫の艶やかな髪が流れる。


「…寒いな……」

「はい…お昼頃まで雪がちらついてましたね」

「たしかに…」

「はい…」

「…」

「…」


………


話題が無さすぎる。そもそも、ほぼ初対面の人と談笑するのは苦手だった。こういう状況に陥った時、どうすれば良いかの知識なんて持ち合わせていない。

面白い話も思いつかない。頭で話題と話題の大乱闘を繰り広げていると、隣で歩いている霞姫から話しかけられた。


「本川さん」

「どうしたんだ?」

「その…やっぱり本川さんは帰ってください。上着は後日お返ししますので」

「え、でも」

「全く関わりもないのに、私のために迷惑は掛けられません。それに、風邪をひいちゃうかもしれません」

「迷惑だなんて…」


なぜこの子は素直に厚意を受け取れないのだろうか?どちらかと言うと俺に遠慮をしているのか?そんなこと考えなくていいのに。


「迷惑だなんて考えないでくれ、滝川さん。いま滝川さんを助けなかったら目覚めが悪いんだよ。つまり、これは俺のためにやってる事だ。その結果風邪ひいてもそれは俺がやりたくてやっただけだから、滝川さんは気に病む必要なんてない。素直に厚意を受け取ってくれよ。それと、俺に着いてきて欲しくなければそう言って欲しい」


できるだけ、「俺が勝手にやりたくてやっていて、滝川さんのためにやってる事じゃない」という意味が伝わるように言った。多分、滝川さんはそういう他人への「借り」を意外と気にしてしまう人だと思ったから、善意の押しつけにならないように配慮する。


「……ありがとうございます…でもやっぱり…!」

「だぁーもう!じゃあ、俺が滝川さんと一緒に居たいからいるって言うならどう?」

「…え?」


……沈黙。

もしかして今、結構気持ち悪いことを言ったか?必死に言い訳を探す。


「あ、いや、えっと…」

「…ふふ、『じゃあ』って…ふふふ」


…これぞ姫の微笑み。何が面白かったかはよく分からないが、教室で見せる笑みとはまた違う美しさと、それでいて無邪気さが滲んだ笑顔。思わず少しの間見とれてしまう。


「では…ご厚意に甘えていいのですか…?」

「え、さっきから甘えてきてって言ってるんだけどな…」

「…ありがとうございます本川さん!」


今度は喜びが滲む笑顔。見ているこっちまで幸せになれそうな笑顔。あぁ、粘り強く説得(?)してきて良かった。


「じゃあ早速なんだけど、駅から家に着くまでの間でどこかに寄ったりした?」

「あぁ、それですね。寄りましたね。駅から出たあと、ずっと気になっていたお団子屋さんに行きましたね。その後赤ペンを切らしそうだったので文房具屋さんに行ってお夕飯とおやつを買うためにコンビニに寄りました、あ、その前にどら焼きも買いましたね」

「待て待て待て待て」


寄り道しすぎじゃね?いやいいんだけどさ。

ほぼお菓子関係だし。


「…?…どうかしましたか?」

「あ、いや……。お菓子大好きなんだなぁと」

「む、いけませんか?」

「滅相もございません、俺もお菓子好きだし」

「…!そうなんですか!どんなおやつが好きですか?」

「うーん…団子好きだな。さっき滝川さんが言ってた店は何度か行ったことあるし」

「ずんだ団子が美味しかったですよ〜!」

「分かる!甘すぎないずんだともちもちな━━━」


なんとお菓子という共通の話題ができた。

俺たちはしばらくお菓子を語り合いながら鍵を探してみるのだった。

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