第14話 変な誤解
滝川さんと本川さん、どっちも「川」がついてることに今まで気づいてなくて、この話書いてる時名前間違えたかと思いました笑
「おい、早く出てやれよ。外さみぃんだぞ」
「あ、そうだな」
悠真の声で我に返り、玄関に行き、その勢いのままドアを開ける。
そこには、黒いコートに身を包み、長めの黄色いスカートをはいた滝川さんがいた。初めて見る彼女の私服姿にドキドキしてしまう。なんて可愛らしい格好なんだろう。
彼女のコートを見て思い出したけど、貸した上着まだ返してもらってないな…
いや、それは後で。今はなぜ彼女がここに現れたのかだ。
なんだか少し複雑な顔をしている。
「滝川さん…えっと、どうした?」
「本川さん、今南谷さんいましたよね?」
「あぁ、いるな」
「多分、さっき彼と目が合ってしまって…だから、誤解を解きたくて」
「…誤解?」
「はい、あの、その…」
「まぁまぁ、立ち話もなんだし、入ってもらおうぜ」
急に俺の背中からぴょこっと飛び出してきた悠真に滝川さんはぴくっと驚いたように肩を跳ねさせた後、俺に尋ねてくる。
「お、お邪魔してもいいんですか?」
「まぁ、な。滝川さんがいいなら俺は構わないけど…」
「…じゃあ、お邪魔します」
下を向きながらそう言った滝川さんは耳まで赤くなっていた。寒さのせいか、それとも…
いや、とにかく一体なんの誤解があるのかの話を聞こう。
━━━━━━━━━━
「お勉強してたんですか?」
リビングに来て、ノートやらペンやらが散乱したテーブルを見て滝川さんはそう言った。
「さっきまでな。今はもうゲームやる雰囲気になってたけど」
「ゲ、ゲーム…!」
「で、完全に遊ぶ雰囲気になったからお菓子を取りに行こうとしたら、あそこの窓から滝川さんが見えたんだ」
「おやつ…!」
滝川さんはゲームとお菓子という単語に目を輝かせる。そういえば、趣味はゲームって言っていた気がする。お菓子は言わずもがな好きなんだろう。
「適当に座っててくれ」
「へーい」
「はーい」
先程出しそびれたジュースやお菓子をテーブルに持っていく。滝川さんの目線はお菓子に釘付けだ。
なんだか、猫じゃらしで遊ばれている猫みたいだ。
「…食べてもいいですか?」
「ダメだったら出してないぞ」
「…!いただきます!」
「…滝川さんの素ってこんな感じなんだなぁ〜」
悠真が笑顔で発したその言葉に、俺たちは同時に固まってしまう。
滝川さんがお菓子を無邪気に食べる姿は、見たことは無かったが想像は着くので俺は驚きはしなかった。しかし、悠真は別だろう。
悠真がいつも見ているのは、学校での完璧な振る舞いを見せる滝川さんだ。
学校での姿とかけ離れた今の姿は、悠真にとっては意外なものだっただろう。
「…悠真、学校の皆には内緒だからな」
「内緒ですよ」
「分かってるって」
悠真はへらりと笑って言った。本当にわかっているのか分からないが、悠真なら問題ないだろう。
そろそろ本題に入ろう。
「…で、誤解っていうのは?」
「あ、それですか…」
滝川さんは今になってもじもじし始めた。
やがて意を決したように勢いよく顔を上げて言う。
「み、南谷さん!」
「うぉあ、どうしたの」
「あの、その…本川さんと私は、つ、付き合ったりしてないですからね!!」
「「は?」」
滝川さんは(言えた〜!)と思っているのか、やりきった感を出して胸をなでおろしている。
一方、俺と悠真は全く意味がわかっていなかった。
俺と滝川さんが付き合っていることが誤解?
悠真がそう認識したなら誤解だろうが、そんな解釈はしていない。
俺たちは顔を見合せて訳分からんという顔をしていた。
そんな様子に気づいたのか、滝川さんは困惑した様子で尋ねてくる。
「あの、おふたりとも…?」
「…滝川さん、俺は啓人と滝川さんが付き合ってるなんて思ってないぞ」
「ふぇ?」
「仲良いんだなぁとしか」
「で、でも、学生はみんな恋バナが大好きで、男女が仲良くしてるとすぐにくっつけたがるんだって友達が言ってました」
「それは多分…」
「女子だけだろうなぁ…」
クラスメイトの女子は確かに恋バナが好きらしい。聞こえてくる会話の中でも、
「誰と誰が付き合っている」
「誰と誰がいい感じ」
と言っているのをよく耳にする。
素を見せられる友達は俺を含めてもあまりいないらしいが、滝川さんにも友達がいて、大半は恐らく女子だ。
恋バナ大好き軍団と話しているからこそ、学生は恋バナが好きという間違えた理解をしてしまったのだろう。
「そうでしたか…へ、変なこと言ってしまってごめんなさい」
顔を真っ赤にして滝川さんは頭を下げた。別に、謝罪するほどのことでもないのだが。
「いいよ、滝川さん。顔を上げて」
「そーそー、謝罪するほどの事じゃねぇよ」
「あ、ありがとうございます!」
少し雰囲気が和やかになったところで、再び悠真が話し出す。
「滝川さん、俺ら今からゲームするんだけど、一緒にやらない?」
その提案は、俺もしようと思ってた。
このまま彼女を帰らせて、俺と悠真はゲームを楽しむのはちょっと気が引けたからだ。
「へ、いいんですか…?お二人の邪魔になるんじゃ…」
「構わないよ、滝川さんだってほんとはやりたいでしょ。さっき、ずーっとお菓子とゲーム見てたし。な、啓人?」
「そうだな、にらめっこしてた。もちろん、なにか用事があるなら無理にとは━━」
「いえ、遊びたいです!!」
勢いよく立ち上がってそう言った滝川さんに、思わず笑みがこぼれてしまった。
ゲーム三昧の始まりだ。
滝川さんは色んな表情見せてくれますね…!
ちなみに、啓人が霞と仲良くなる前、人前で笑顔を見せるのはとてつもなくレアなことだったという裏設定があったりします…
良ければ★★★★★よろしくお願いします!




