第13話 お勉強会①
2日後。
週末になって、今は布団を被ってスマホを見ながらお菓子を食べるという絵に書いたような不健康なことをしている。朝ごはんも食べていないが、週末にしかできないこの行動の特別感は貴重なものだった。
夕飯のための買い物、課題、お菓子の補充、洗濯、課題、課題。やることは山積みだが、スマホとにらめっこしかやる気が起きないのだ。このままでは、1歩もベッドから出ないまま週末が終わってしまいそうだ。
「はぁ、起きるか」
自分に言い聞かせるようにそう呟いてベッドから下りる。
朝ごはんを食べて、一通りの家事を終わらせてリビングのソファに座ってスマホを見ると、まもなくメッセージ通知が飛び込んでくる。送り主は悠真だ。
『暇すぎるから啓人の家遊び行きたい』
『急だな。いいよ』
『いいんかい』
『俺も暇だし。やることいっぱいあるけどね』
『課題のことか?それなら、課題持ってくから一緒にやんね?』
『それでもいいか、持ってきて』
『おけー』
突然だが家で週末課題をやることになった。
他の人と一緒にやるということは、モチベーションに繋がるので、いい事だ。
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1時間ほどして、いつもよりも小さめなリュックを背負った悠真が来た。課題を持ってきたのだろう。
今回出された課題は数学と英語。数学は俺の得意科目で、悠真の苦手科目。英語はその逆だ。
「どっちからやる?」
「おまかせでー」
「じゃあ数学からやるか」
「おけー」
得意科目をさっさと終わらせて、後の英語はゆっくりじっくりやる作戦だ。
しかし、現実はそうも上手くいかなかった。
「おい啓人…これムズすぎないか?」
「うん…わけわからん」
課題を出される時、先生が少し難しい応用問題と言って配布したものではあるが、少しなんてものじゃない。かなり難しい。教科書を見ながらやっても、ありえない数値が出てきてしまう。
「一旦休憩するか?」
「お、待ってました!ゲームしようぜー」
「課題は…?…まぁいいか」
俺は苦笑してそう言った。悠真は完全に遊びモードだ。
お菓子やジュースを準備しようと、台所に行く途中、ふと窓の外を見ると、隣の家の窓に人影が見えた。その正体は━━━滝川さんだ。
ここは結構古い町で、家と家の間は狭めだ。だからこそ視認できた。
彼女も俺に気づいたのか、一瞬驚いた顔をした後、にっこりと笑顔になる。それから胸に手を持ってきてブンブンと手を振ってくる。
一つ一つの仕草が可愛い。彼女の微笑ましい姿を見て気が緩み、手を振り返す。
「…なにしてんだ?」
あ。
いつの間にか近づいてきていた悠真は窓の外を見たあと、何かを察して、にやにやして問いかけてくる。
「今の、滝川さんだよな?」
「……」
「お前、あの人と仲良くなったって言ってたよなぁ」
「……………」
「隣に住んでるってことなのか?」
「………誰にも言うなよな」
「わーってるって」
窓の外を見ると、既に滝川さんの姿はなかった。悠真が来て咄嗟に隠れたのだろう。
「それにしても、啓人あんな顔できたんだなぁ」
「あんな顔ってどんな顔だよ」
「こう…優しげな顔」
「今は優しくないとでも?」
「行動は人類一優しいが、表情は別だ。いっつも硬い」
そう言って悠真は顔をしかめてみせた。
それが真顔なんだからどうしようもないだろ、と言おうとしたが、その考えは突然鳴ったインターホンに掻き消された。
「誰か来たな」
「?…なにか頼んだかな…」
不思議に思いながらドアホンを見ると、そこには滝川さんが映っていた。
勉強会なんていう青春は誰が経験するのでしょうか…
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