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あの日の僕へ  作者: Isel
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最終話 回生

『宮上 雅』という人間は、高校3年生の12月に命を落とした……はずだった。

「……あ?」

原因は最後までよく分からなかったとはいえ、彼は確かに死んだはずだ。だが宮上の意識はまだ存在しており、手や足の感覚もしっかりある。

「ああ…あの世か」

周囲を見回しても、ただ暗い風景が広がっているだけである。その時、暗闇の中に光が現れ、そこから誰かの声が聞こえてきた。

「やっと会えたな…」

「うわ眩しっ」

「待ち侘びていたぞ…人間」

「眩しいって」

「まずは自己紹介だな。我が名はアイオーン…この世界の正の概念やそれを連想させる全てを司る神だ」

「だから眩しいっての!照度落とせ!」

「今格好つけてるんだから雰囲気を壊すな!」

よくもまぁ初対面の者とこんなやり取りが出来るものだ。

「で?神様ともあろう者が俺に何の用だよ」

「…我に協力してほしいのだ」

「はぁ?」

「話せば長くなる…まず、我はこの宇宙が誕生した時から生きているのだが…」

「爺さんじゃねぇか」

「我に性別は無い。それで、我は我と対をなす存在と…少々喧嘩してしまってな。そろそろ我々の戦いが幕を開けそうなんだ」

「喧嘩て」

「何が問題かと言うと、その戦いがこの地球の近辺で行われそうな事だ…人もその他の生物も皆滅ぶ。文明など以ての外だ」

「…そうか」

「だが、策がない訳ではない。当然、この戦いに臨めば我の力はほとんど失われる…が、最後の力を振り絞れば、新たな世界を創生する事も何とか可能だ」

「ふーん」

「さっきから反応薄いがお前は大分肝が座っているようだな」

「いやいきなりファンタジーの話をされて困惑してるんだよ」

「ファンタジー?まぁいい…そこでだ、お前には新しい世界の神となってもらいたい」

その台詞の意味を理解するのに、宮上は少し時間を要した。そして、理解した瞬間…

「……はぁ!?」

当然の反応だ。

「…引き受けてはくれないだろうか」

「………まぁいいや」

宮上は心底面倒そうにではあったが、それを承諾した。

「助かる……それと…すまない」

「は?なんで?」

「…この件の為に…元々お前にあった心臓の病を悪化させたのだ。我の都合でお前の人生を潰してしまった事……謝罪する」

それは、普通であれば誰だって怒りを露わにするような内容だった。しかし、アイオーンのその態度があまりにも誠実だった故に、宮上は咎める気が起こらなかった。

「…謝罪ついでに教えてほしいんだけどよ、体育祭の時に俺を怪力にしたのってもしかしてお前か?」

「ああそうだ。予定より先に死なれては困るからな」

「俺体育祭で死ぬかもしれなかったのか?」

「それだけお前の身体が元々弱かったのだ」

「マジか…」

「…次の話をしよう。今のままでは神など到底務まらない故、お前にお前が望む力を与えようと思う」

「そんな魔王みたいな」

「一刻を争う訳ではないから、ゆっくり考えろ」

それを聞いて、宮上はある疑問を呈する。

「そういや…その戦いっていつ起こるんだ?」

「我の予知によれば……お前達の尺度で言うと7日後だな」

「来週かよ」

それからしばらく、宮上は自分がもらう力の事を考えていた。そして、答えを出す。

「…『この世界の全てを知って、それらを司る力』みたいなのは出来るか?」

「出来るが……訳を聞いても良いか?」

アイオーンは目を細めて聞く。

「…そんな大層な理由じゃねぇ。約束したんだよ。『お前の事を忘れない』ってな」

「…そうか」

それから、宮上はアイオーンに対して数々の質問をした。具体的に何をするのか、1人でやらなきゃいけないのか、などだ。

「もう質問はねぇよ」

「分かった。それでは、新たな世界を頼んだぞ」

こうして、彼は新しい世界へと生まれ変わった。そこで、数々の幸福。数々の苦痛を知るのだ。全てを知る者、アルヴィースとして。

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