第十話 文化祭…?
ちなみにこの作品
前日譚だけではなく日常系作品の練習も兼ねています
すごく難しい
8月の下旬。本っ当に何も無く夏休みが終わり、クラス内は新たな話題で盛り上がっていた。それは文化祭である。文化祭の話自体は夏休み前から出ていたのだが、まだ何をやるかは決まっていなかった。今日はその話し合いである。
「それでは、周りの人と案を出し合ってみてください」
「文化祭か…」
「ミヤミヤって前の学校の文化祭はどんなだったの?」
「普通に飯作って売ってたな」
「うわっ普通」
「悪いかよ」
クラス中から話し声が聞こえて来る中、様々な出し物が提案される。
「焼きそば作るのはどうでしょうか?」
(いいんじゃねぇの)
「コーヒーカップとか作るのは?」
(どうやってやるんだそれ)
「競馬!」
(競馬!?)
数々の案に対して宮上は心の中で反応している。その時、1人の生徒が言った。
「お化け屋敷はどうでしょうか?」
(お化け屋敷って…)
ホラー系のものが嫌いな宮上は少し嫌そうな表情になる…が、
「いいじゃん!やろうやろう!」
そんな声が、クラス中から聞こえて来た。何とノリの良いクラスだ。
(マジか…)
こうしてホラー嫌いの宮上は、ホラーを作る仕事に従事する事になった。そしてその日の帰り道…
「ミヤミヤ元気ないじゃん。どしたの?」
「俺ホラー嫌いなんだよな…」
そして、少しの沈黙の後に宮上は言う。
「…まぁいいか。どうせ最後の文化祭だしな」
「……うん」
宮上の余命は、4月の時点で『長くても1年』である。まだ半年以上残ってはいるが、宮上と同じく皐月も夏休みの間にそれを実感していた。
そして、翌日から文化祭に向けた準備が始まった。
「教室中に黒いカーテン付けるんだな」
「その方が暗くなるんだって。雰囲気出るよね〜」
「あっ、ミヤミヤ君!ちょっと手伝ってほしいんだけど…」
「うぃ」
死ぬ程気の抜けた返事と共に、宮上はカーテンを貼り付ける作業を手伝いに行く。
「…これ見た目より難しいな」
宮上は別に不器用な訳ではないのだが、その作業には苦戦していた。教室の天井にガムテープでカーテンを貼り付けるのだが、何が面倒なのかと言うと、まずカーテンがビニール製なのだ。少しでもテープを貼り間違えれば、当然剥がさなければならない。その度に、少しずつカーテンが破けてゆくのだ。
「うわ危ねっ」
それだけではない。今、宮上は何の上で作業をしているのか、想像出来るだろうか。そう。教卓の上に立っているのである。単純にとんでもなく不安定な場所に立っている事と、前述した要素によって、この作業の難易度はかなり高くなっていた。
「がんばれミヤミヤ〜」
「がんばれミヤミヤ君」
「お前らも手伝え!!」
「叫ぶとカーテン千切れるよ?」
「クソがぁ!」
キレながらも何とか作業を進め、カーテン以外の準備を徐々に進行していった。その時の宮上は、4月とは比べ物にならないほど明るい表情をしていたという。
そして月日は流れ、10月の上旬。とうとう文化祭の本番がやってきた……のだが。
「…いない」
皐月はいつにも増して落ち着きがなかった。その理由はただ1つ。いつも怠そうに登校していた宮上が、この日に限って姿を見せていないのである。
「風邪でも引いたのかな…?」
そう思う事にして、文化祭の1日目が始まった。
その日は結局、宮上が登校してくる事は無かった。皐月の脳内に悪い予感が流れ出す。皐月は急いで宮上の家へ向かった。




