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作者: 風乃薫


京都河原町の騒がしい繁華街が鬱陶しくて逃げるように街を抜ける。脇の小川に沿って少し歩く。すると、うってかわったように長閑な街並みとこじんまりとした銭湯が見える。昔ながらの暖簾に思わず心をくすぐられて何も考えずふらっと中へ。丸眼鏡に1つ結びのいかにも京都風で文学チックな女性店員が愛想良く出迎えてくれる。レトロな内装にレトロな音楽。気分は1990年で、タイムスリップしたかのように錯覚する。まるで昭和を生きる少年になった気持ちだ。急いで服を脱いでいざ銭湯に入る。湯船に浸かると気持ちがいい。しかし少し熱い。湯の温度が書かれていないがやはり熱い。「なるほど、少しお湯の温度を熱くする事で客を早く湯船から出して、回転率を上げようとしている悪徳店だな」だとか考えてまんまと罠にハマった自分をを殴ってやりたい気持ちになんかなる。それでも何とか居座ってやる。とそう決意しようとした時、ふと横に目をやると学級新聞の銭湯バージョン。銭湯新聞があるではないか。銭湯に通う人の悩みを番頭が解決するというなんとも心温まる内容の新聞である。さっきまでの自分の捻くれた考えに嫌気がさす。たっぷりと湯を堪能してから風呂を出る。コーヒー牛乳は160円といささか高価だが買わない手はない。そして煙草を吸いながら急いで口に流す。どこかノスタルジックな気持ちに浸っていると、いつのまにか煙草は吸い終わり、コーヒー牛乳はなくなっていた。気がつくと2022年に戻っていた。

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